犯人探し
____少し前
「爆裂弾、設置完了」
《ご苦労様》
大きな四角いバックを持った長髪人間は、会場の真ん中で通話を終えた。
観客席を見ると爆裂弾が入った紙袋がA席に置かれているのが見える。
ふぅ、と溜息をつくとA席から離れ予約済みのC席へ向かう。
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試合が開始すると、席から離れて階段を降りて通路を歩く。
パタパタ、と歩いて会場の外へ出て行った。
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「紅!」
碧はパンを頬張りながら、紅を呼ぶ。
ふにゃ?、と顔に白い粉をつけた紅が顔を覗かせる。
「ねぇ……」
「ハァ!?師匠が!?」
「もしかすると、お父様が犯人かもしれないの。てか、人の父さんをクソジジイ、とか呼ばないでくれない?」
翠は店の横を自転車で通りかかり、店の中で紅と碧が真剣に話し合っているのを目撃して____
どういう事だ?
「お父様、銀髪長髪でしょ?」
うんうん、と紅は頷く。
碧は現場に銀色の長い髪の毛が落ちていた事を話す。
紅は、同じ髪の毛の色や長さなんてあるだろ、と思ったのだが、
「お父様は他人と被るのを嫌がって、染めちゃったのよね。元々は水色だったのに」
あ、地毛じゃないのね。
そして被るのが嫌、という事は父さんしかいないって事?
「それじゃあ、犯人は分かってしまったようなものじゃ………?」
「分かんない。確信はないの」
「まぁ、そうだよな。カツラでも被れば______」
「そうか!カツラね!」
今、俺が……。
まぁ、証拠を所持している可能性はないだろうからどっかに、カツラは捨てられてるだろうし、それを探し出して色々調べれば……
「紅、そんなに簡単には無理だから」
「じゃあ、どーすんだよ」
「目撃情報を集めたら?」
「いやいや、無理だろ。みんな試合に夢中だからな」
ムスッ、と碧はまた頬を膨らませた。