やっぱり
足は、意思に反して歩き続ける。
止まらない。グングン進む。
体は、ヘトヘトでも足だけはピンピンして進んでいく。
「どこに行くんだろう・・・」
操り人形に自分がなった様な気がした。
(もしかして、本当に・・・)
だんだんと、見覚えのある道になってきた。
いつもの通学路だった道ーーーしかし、今は血が地面に飛び散った痕だけが残る
寂しい道。
パン屋を過ぎて、英語教室があって、あっ!私達の学校もある。
もう、すぐ、自分の家だ。
「家に何しに・・・」
ピタッと足が止まった。動かそうとしても、ピッタリ地面に張り付いてしまって
いる。
「凛花!こっち!」
家のヘイの向こうから声がした。そして、
いきなり、名前を呼ばれ、おまけにこっちへ来いと手招きをされた。
「誰?」
「俺だよ!俺!」
・・・この会話、前にもあった。はっきりと覚えてる。デジャブだ。
前のこの声の主は、田村颯斗だった。でも、颯斗は死んだ・・・
「颯斗だよ!」
颯斗・・・?動揺が隠しきれなかった。
涙が溢れ、顔がグシャグシャになった。
「なんで・・・なんで、ハヤドが生きでるの?」
「泣くな!俺は、死んでなんかない!あれは、ミ・セ・カ・ケ!」
「ミセカケ?」
「鬼になんか、俺は負けねぇ。見せかけだよ。」
「ミセカケ?」
「ペンキが、倉庫にあったからさぁ、潰れたふりしてみただけだよ。鬼も、騙されたみたいだし。デモサァ、お前らがサッサと逃げたのは計算外だったぜ。」
「だって、怖かったもん!」
「ゴメン。仲間は?」
「みんな、嫌い。」
「なんでだよ。」
「自分勝手だもん。」
「そんな事ねぇだろ?」
確かにそうだ。みんな、守ってくれた。助けてくれた。
「な、だから一緒にみんなの所戻ろう、な。」
「うん。」
颯斗に言われると、否定できない。
「みんなは何処かな?」
「・・・知らない。」
「おう、公園にいるじゃん!」
「えっ!?」
まだ、動いてないの?なんで?てか、何で分かるの?
「俺、標的がどんなに離れていても見えるんだよ。生まれながらかな?」
「そうだったんだ・・・」
「お前をあいつらは、待ってるよ。行ってやれよ!」
「うん。」
颯斗は、いつも明るくて羨ましい。
凛花は地面を蹴って走り出した。
さっきまでとは、全然違う。体が軽い。
颯斗は、ゆっくり後ろからついて来ていた。
公園は、いつもより近くなったように感じた.
そこには、みんなの姿があった。
「みんな、ごめん!自分勝手で、ワガママで。」
「顔上げて.」
ライカだった。
「私も悪かった。嫌な思いにさせてごめん。」
「みんなは悪くない!ごめんなさい。」
顔を下げた時、後ろに颯斗が立っているのが見えた.
「颯斗!」
「俺、こいつの幼馴染の田村颯斗っす。これから、よろしく。」
「みんな、私達の事、よろしく。」
「あったりメーだろ?」
軍人帽に・・・
「紅!Bグループがなんでここに?」
「今から、俺たちもここ使うんで.」
「リーダー、凛花。」
「えっ!?」
「やっぱ、リーダーは凛花だな。」
「セイ・・・」
「Aグループ、リーダー中藤凛花です。」
公園に、拍手が響いた。