表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/204

正義と罪

「お前…………颯斗、だよな?」


トウジはただ、その場に立ち尽くすことしか出来なかった。

手にはガラス瓶を握って。

もう、狼に面影は残っておらずただの獣、だ。


「…………お前も死んだのかよ」


いや、死んでしまったからにはもはや、毛の塊でしかない。

魂はもう、この世には無いのだから。

震える手でガラス瓶の蓋をトウジは取ると、飲ませようとするが。


__________『死んだ人間を生き返らせる事は罪』_____________


ギリッ、と奥歯が音を鳴らし蓋が瓶に収まっていく。

一度退場した人間は引き戻してはならない。

それは、命を弄んでいるから。


「でもよ……このまま、手振って去れって言うのかよ」


目の前にいる人間は、生き返る可能性が残されている。

なのに、なのに、無視して去れって言うのか?




『んで、トウジは如何したいのだニャ。あの獣を生きかえらせたいのかニャ?命を弄んでいるのは、あの骸骨野郎だニャ。トウジは、違うニャ。って、ミーが全ての答えを導き出すのも良くないニャよ。“最後の判断はお前”がやるにゃよー』




気がつけば、また現実に戻って来ている。

”もう一人の自分”の意見は、アレ、か。

確かに、あの支配人って自称してる、骸骨が命を弄んでいるといえばそうなのだが。



___________________


「うわぁぁぁ!鳥さんが死んじゃったぁぁぁ」


幼いトウジの手には小鳥が横たわっていた。

勉強机に向かい合っていたセイが、トウジを睨みつける。


「仕方ないのですよ!そんな運命だったんです。生き物には全て、ストーリーが割り振られてるのですよ!それに沿って俺らは生きてるだけです。"敷かれたレールの上”を歩いているだけなんです。その鳥のレールはそこで終わっていたのですよ!」


トウジは目に浮かべながら、セイに歩み寄り、手の中の鳥を突き出し、見せつけ、


「セイが、鳥さんを生き返らせてよ!科学者になる為に、勉強してるんだろ?」


そう、言い終わった時、いきなりセイがペン回しを始める。

シャープペンシルが窓から差し込む光でピカピカ、と光り部品が音を立てる。

セイの怒った時の行動、だった。

いつもはペン回しなんてしない。

間違いない。

長年共に生きて来たものだけが分かる。


「俺は命を弄んで、運命に逆らう為に勉強しているわけではありません!鳥が本当に生き返る事を望んでるのでしょうか。そこを無理矢理生き返らせて、それが鳥の為でしょうか?」


視界がゆらゆら、と揺れ顔が熱くなっていく。


__________________________


「もぅ、ワカンねぇよ。もう………よ。死ってなんだよ。生きるってなんだよ」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ