私が死んだ
ズタッ、とレンは手紙を抱きしめながらゴロッ、とレンは倒れこむ。
「これっで……きっとミオウのところへ行く事ができる」
その時、外でバコンッという爆発音がして怪物小屋がガラガラ、と砂埃を上げながら消えていった。
それは、ライトの仕業。
レンの身の危険を感じたライトは小屋を破壊したのだ。
「レン……まさか!まさか!」
シュタッ、と地面を蹴り窓にライトは張り付いた。
すると……。
「レン!」
頭と首に矢を受けたレンの姿があった。
血が流れた跡がある。
どういう……ことだよ!
ん、とライトは部屋の中の床を見て、何かを見つける。
それは白い紙。
じっ、と目を凝らせば_____
「レオウからの手紙!ってことは…………」
ライトは全てを悟った。
茜は王宮の屋上で倒れていた。
薄く目を開け、天手を伸ばす。
すると、ガサッと音がして目の前に翠が現れていた。
「もう……リタイアする。茜、行こう」
リ……タイア?
「知られていないけれど、命を半分削ればリタイアできるんだ。だから、半分削ってリタイアする。そして、この世界を出て俺の故郷へ行こう?」
「あ……あ……でも……」
「命の半分なんて要らない。こんなゲームで人生を潰されるよりも、短い人生を故郷で楽しく生きた方がマシだよ」
翠は茜を背負い、支配人へ近づいていった。
屋上を歩き、支配人に手を伸ばす。
「俺の命、半分くれてやるよ。だから、茜と俺を俺の故郷へ飛ばしてくれ」
「仕方ないですね。取り返せませんよ?その命」
「碧と紅に会いに行く予定をまだ、達成していないから。そして、他の参加者には俺は死んだと伝えてくれ」
______
その頃、凛花は。
拳銃を構え、支配人の背後に立っていた。
これは…………翠との計画。
「これで、これで、みんな解放されるんだ……………」
目から涙を零しながら、凛花は拳銃の引き金を引く。
翠と茜は支配人の手により、リタイアとなり金色の光に包まれて消え始めた。
ギッ……
パァァァァァン
鈍い音がして目の前で白い破片が散乱していった。
「これで、終わったんだよね……」
急に体の力が抜け、へなぁ、と地面に座り込む。
ザァザァ、と雨が降りワンピースがグッショリと濡れていく。
淡い色だったものが、濡れて濃く変色していく。
ズチャッ、と拳銃を持っていた腕が地面に触れ、体温が奪われていく。
ふと、拳銃を持っている右手首に目をやると___
両腕に支配人の白い骨の腕が張り付いているのを確認する。
黒く汚れた骨には所々、ひびが入っていた。
「まさか!」
凛花はもう片方の手で、骨を引きはがそうとする。
が、骨の指が手首に食い込み、中々離れようとしない。
グググ、と腕がおかしな方向へ曲がり始め、激痛が走り出す。
「あ”あ”っ・・・痛いっ」
気が付けば、目の前に銃口が迫っていた。
もう一度、発泡音がして天に血飛沫が上がっていった。
ボトボト、と血が身体から流れていくのが見える。
でも、その様子を別棟の部屋の中から眺めていた少女がいた。
「”私”が、死んだ」
颯斗はその様子を突っ立って眺めていた。
放心状態のまま。
「おい……みんな………」
ハッ、として足元を見るとカタカタ、と白い頭蓋骨が動き、颯斗の頭に飛びかかってくる。
慌てて颯斗は背後へ下がるが、そこは屋上。
まるで自分が隕石になった気分だ。
ドサッ
支配人の骸骨は全てを見ていた。
颯斗の体は落下し、ピンク色の薔薇が咲き乱れる庭で真紅に染まった狼を。
「これで、終わりましたか?」
「終わらないよ?」




