ひめたて
ズドッ、と音を立て凛花はテラスに転がり込んでいた。
国王は顔を顰め、歩き出す。
途中で護衛隊の一人が王に近寄り、止めるが王は短剣を抜いて首に刃を当てる。
「黙っとれ、引っ込め!」
「っは………はぁ」
護衛隊は頭を下げ、赤いカーテンの後ろへサササ、と消えていった。
国王は凛花の前まで来るとニタァ、と笑い顔を覗き込む。
凛花はそっとフードに手を伸ばし、拳銃に手をかける。
「貴方は………ミオウが、盾になったのに何も、思わないわけ?」
安全装置を外して、隙を狙う。
タッ、と後ろへ下り、距離を取ってテラスの白い柵に腰を掛ける。
国王は大きく溜息を吐き大きなソファーに腰をドカンと降ろす。
そして白い髭を撫でながら国王は首を傾げながら、口を開いた。
「あー、ミオウか……。ミオウなんてどうでも良いさ」
「!?」
凛花は柵に足を絡ませながら、拳銃を構える。
片目を瞑り国王の目に向ける。
「ミオウはなぁ、この国の姫には向いてないんじゃよ」
引き金に凛花は指を掛ける。
「私の質問に答えて!ミオウが盾になったのに、何も思わないの!?」
「思わない」
凛花は舌打ちをして、国王に向かって弾丸を発砲する。
ダン、ダン、ダン……
「無駄じゃよ」
凛花は金色の弾丸を口に咥えて、睨みつける。




