レンは食べ物で釣ろう
「イヤイヤ、全員で話し合おうな」
紅は手を動かし、皆を見る。
「嫌です」
声をそろえて全員が言い放つ。
「ったく、作戦会議なんだから真面目にやれよ」
「そうですね。基地を探しましょうか。Bグループの拠点となる」
ユズリが声を発する。
「さんセーい!」
そういう声が上がり、空気は明るくなる。
「いいね!」
次々と、賛成の声が上がる。
ユズリの頬が、どんどんピンク色になって行くのがわかった。
紅は、やってランね~、と芝生に体を倒した。
なんなんだよ。どうしてだよ。
Aにグループに行きてェ…。
ほんっと、めんどくさい奴らだ。
なんと言うか、恐怖を知らないのではないだろうか。
「フワァァ」
紅は、うとうと、夢の世界へ出かけて行った。
「基地は、どこにしますか?」
誰かが声を出し、手を叩く音がする。
「鬼に見つかりにくいとこだ!」
元気よく、誰かが叫ぶ。
その声の主は、レンだった。
アヌール王国の護衛隊の一人。
ミオウの付き人だ。
誰もが頭の片隅に置いてあることを言ったレンは、馬鹿だろうか。
「みんな、それふまえて言ってるんですけど?」
ミオウにビシッと指摘され、レンは小さくなる。
「どうせ・・・俺なんか。力が強いだけの・・・」
「ああ!ごめん!言い過ぎた!」
ミオウがレンの頭を撫でながら、汗を流す。
「もう、立ち直れません。ミオウ様」
「帰ったら、王国で好きなもの奢るから」
「分かりました!!姫様に、いつまでもお使えいたします!」
レンは、食べ物で釣れるようだ。
いいこと聞いたぞォォ!
紅は、ほくそ笑んだ。
「使える!」
「紅さん?」
怪しまれ慌てて、口を紅は抑えた。
「何でもねぇ」
「そうですか。良かったです」
安心したのか、訪ねてきたユズリは、笑った。