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ホシイモノと崩れる正義


トウジは口をあんぐりと開けて、瓶を持った右手を震わせた。

「俺は………」

床に手をつき、トウジは目を見開き目の前の現実を信じようと必死だったが、無理だった。レオウの最期の言葉が耳に残る。一生消えないと思われるあの声。

「偽善者」の言葉が頭の中にピッタリと張り付き、剥がれようとしない。


「うわぁぁぁぁぁ」

突然、トウジの中の何かが崩壊し、床に頭をぶつけ始めた。ドン、ドン、ドンと音を立てながら床に頭をぶつける。トウジを止められるものは居なかった。

翠が止めようとしたが、すぐに跳ね返され近づくことが出来なかった。

叫んでも、トウジには聞えない。

信じていたのに、裏切られた事でトウジの中に眠る『魔物』の封印が解かれたようだ。


翠は顔を顰めながら、「メンドくせ」と呟き、トウジをまた蹴った。

「いい加減、目、覚ませ。お前ウザいんだよ。そういう態度取られると迷惑」

と吐き捨てる。それでもトウジは頭を床にぶつけ続けた。


カァッ、と頭に血が上り翠は刀を抜く。

「トウジ!こんな事、しないと目、サマさねぇのか?」

銀色に光る刀はドサリ、と床に何かを叩き落とした。

その衝撃にトウジは顔を上げ、翠を見つめる。

そして上下上下と目線を移動させ、放心状態のまま床に倒れこんだ。


床に叩き落されたのは、人間の手首だった。

断面からは、トマトジュースのような生臭い液体が流れてくる。

翠は床にしゃがみ、手首を回収した。

しかし、それを回収する翠の腕にはシッカリと手首は付いていた。


つまり、偽物である。

翠は偽物の腕を切ったため、躊躇いもせず出来たのだ。

それを知らないトウジは床にバッタリと倒れてしまった。

この腕の正体は、レオウの腕だ。

知らぬ間に翠は腕を切り落としていたのだ。

本人も気がつかないうちに。


そして腕を床に放り投げると、トウジに近づき頭に刀の鞘をコツン、とぶつけた。

「さっさとこの部屋のメズラシィ物奪って出るぞ」

そう言って翠は部屋をグルッと見渡し、枕カバーにイロイロな物を詰め込んで部屋を出て行った。


ヨロヨロ、とトウジも起き上がり翠の後を追っていく。

もちろん、トウジは何も奪わない。

トウジが奪いたい物は、実際のは手に入れる事はできないが、


「俺が欲しいのは、_________________」



トウジは翠を追いかける。そして、

「俺が欲しいのは、レオウみたいに沢山の家族なんだ」


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