表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/204

消えたレオウ

その時、部屋にトウジが慌ただしく飛び込んできた。部屋の扉がガンッと音を立て、開く。そしてトウジは目を丸くした。

ミオウの上に翠が馬乗りになり、背中に刀を突き刺しミオウは血を流して倒れているのだ。トウジは翠に飛び掛かった。慌てて翠は避け、トウジをの攻撃をかわした。


「ミオウに、何やってんだ」

翠を睨みつけてくるトウジに呆れかえりながら、様子を眺めていた。トウジは混乱状態のまま、あの薬を取り出した。慌てて翠はトウジを止める。

「お前、"偽物"にその薬を使うんじゃねぇ!ミオウは既に死んでたんだ!こいつがミオウを殺したんだよ!そいつはレオウだ!ミオウじゃない」


しかし、トウジは聞く耳を持たなかった。薬の蓋を取り、レオウに飲ませようとしている。「トウジ!目を覚ませ!そいつはレオウだ!いいか、そいつは動物の声が聞けないんだ!カラスしか召喚出来ないんだ!」刀を振り、トウジの手に向かって白い斬撃を飛ばす。ズチャッ……。その時、斬撃は逸れ、トウジの肩に当たっていた。顔をしかめながらトウジは倒れこむ。


「翠!俺を狙ったのかよ!殺す気か!?」

腕から血を流しながらトウジは翠を睨む。

「トウジ!確かめろ!そいつはレオウだ!仲間を信じられないのか?」

すると、「こいつはミオウって自分で言ってるんだよ。仲間を信じられないのか?その言葉、そのまま返してやる」と叫ばれた。頭に血が上り、翠はつい、トウジを蹴り倒していた。


バタッと音を立て、トウジは床に倒れ翠を睨みつけた。

「何やってんだよ!」

「お前な、仲間をどんだけ見てこなかったんだ!こいつはミオウとは違う。ミオウは目は翠色の目をしてるんだ!こいつは、灰色だろ?」

くそっ、折角翠色にする魔術を使ったのに……。もう、効果が切れていたか。

幽霊になったレオウは目を抑えた。そして、口を開く。

「魔術が、解けちゃったみたい。私達姉妹は容姿はソックリだった。でも一つだけ違ったのは、目の色。私はミオウの様な綺麗な翠色になりたかった。なのに、灰色だった。だから、ミオウに変装するときは必ず目を緑色に変えていた」


トウジは驚き、レオウを睨んだ。

「騙してたのか……」

「勝手に信じたのはそっちじゃない。綺麗事ばっかり並べて、そんな事ばかり話す人間がいるなんて驚いたわ。でも、そういうのって_________」

レオウはコツコツ、と音を立て歩きトウジの耳元で囁いた。微笑を浮かべ、翠に聞こえない様に。

「___そう言うの、偽善者っていうのよ」

そう言うと、レオウはスゥッと薄くなり、消えていった。




__________________

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ