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気がつかなかった翠


翠とトウジは、また翠の術を使い空を飛んでいた。仲間探しである。暗い夜空を駆け抜けて、星に手が届きそうなところまで上昇する。


風ヶ丘は、あっという間に小さくなっていった。今はもう、米粒くらいの大きさだ。二人は、風の流れに身を任せ夜空の旅を楽しんでいく。


夜風は冷たく、肌寒い。

「うぃぃぃ」

トウジは、上着のセーターを引っ張りながら体を震わせる。翠は、自分の上着を脱いでトウジに投げた。


「寒いなら、着ろよ。風邪ひかれて足手まといになられても困るし」

「あっ!翠わりぃ」

トウジは緑の黒い上着を着て、フードもしっかり被った。(ここで、なんでトウジなのかなぁ。碧になら貸しても全然OK!なのに)


ハァ、とため息をついて翠は刀を振り、加速させた。移動スピードが上がり、体が引っ張られる感覚になる。


トウジにはそれが、負担になるかもしれない。しかし急がなければ…。

「イギッ!」

いきなりトウジが変な声を上げていた。もしかすると、加速させたためやはり体に負担がかかり_____???

翠の目に映ったのは、足から出血しているトウジだった。

「トウジ!」

翠は慌てて、術で治療して服をちぎって応急処置を施す。一体、何故?その時トウジの足に異変があるのを感じた。


足に短い針が刺さっている。(吹矢か、結構古典的な攻撃・・・ん?それでもこれが使われているから少しは人が___)翠は針を抜いて空の彼方へ投げ捨てた。そしてトウジを背負い矢が放たれた場所に向かって降りて行った。


その国の範囲内に入ると、温度は一定に保たれており外程寒くはない。

一つの丘のふもとにトウジをおろし、休ませる。

「翠、ありがと」

「ああ」

その時、翠は異変を感じ丘を身をかがめて駆け上り、向こう側を覗いた。そこには二人の少年少女と死体が転がっている。辺りは一面血の海だった。

「アイツラガ・・・全部やったのかよ」

白いパーカーの少女と、猫耳の少年。二人とも、返り血を浴び真紅に染まっている。その二人には、見覚えがあった。

「凛花!颯斗!」

仲間である。猫耳の少年、颯斗は白銀の狼である。二人は振り返り、慌ててこちらへかけてきた。パタパタと足音を立てて丘のふもとまで降りてくる。そこで、2人はトウジに気が付いた。


「トウジ!大丈夫なの?」

トウジは吐血していた。手に血を溜めて、苦しそうにしている。翠は、その時やっと矢の正体を理解した。



「_____トウジ、気が付かなくて済まない。毒矢だったのか」

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