表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
124/204

行こうよ、行く事で君が変わるのならば

「物理攻撃しか、俺は出来ない」


と、レンが弓を射る姿勢をとる。レンの射は、イマイチという所か。この間は、成功率がほぼ0の技を繰り出したのだったが、マグレのよう。


ライトは、攻撃技を覚えようにも師匠が居らず、その願望は叶わなかった。この世界には、ライトと同じドラゴンはいるのだろうか。


ライト、だけがドラゴンなのだろうか。獣化する人間は、いるものの(颯斗)そのままの獣生物は存在していない。


このゲームの死神、鬼でさえロボットなのだ。精巧に作られた。皮膚の下には、血管がある、内臓までもが再現されたロボット。


伝説上の生物は、ほとんどがロボットだ。颯斗や、ライトを除く。やはり、居ないのだろうか、ライトの師匠は。


このゲームでも、まだドラゴンにはあった事がない。それは、居ない事を意味しているようにレンには思えた。


レンは、弓を下ろし息を整える。今、実験しよう。これが、成功すれば大きな力になる事ができるのだ。


今、『あの技』を試そう。炎のドラゴンが飛び出てくるあの技。


「ライト、下がっとけ。ドラゴンの丸焼きになりたくないだろ?」


ライトは、意味を読み取りぞっと、身震いする。どうやら、丸焼きになった自分を想像しているようだ。


(頼む、来てくれ)


レンは、心の中で祈っていた。成功、してくれ。ギッシッ……


左手を離し、矢を解き放つ。ベチン、と腕に弦が当たり、腕をえぐっていった。


腕から赤い液体が、雨のように落ちていった。


ハッ、として腕を見ると擦り傷が出来ていた。その傷にはジワリと血がにじんでいる。


「ぐっ……」


ライトは、レンの異変に気が付いていないのか飛んでこなかった。そればかりか、呑気に、


「レン!早く試さないの?ドラゴンを出すんでしょ?見せてよ!」


今、射ることができる状態ではないと、レンは判断した。俺が、壊れる……。そう、判断してレンは弓をしまいライトの方へ向き直った。


「ごめん、ライト。矢が減っているんだ。調達に付き合ってくれないかな?」


矢が減った、そんな言い訳を使うのは今回が初めてだった。今まで、こんな事なかった。今までは、ミオウがいたから落ち着けた。


けれども、俺は今ミオウを失っている。

それが、上手く出来ない理由なのだろうか。


ライトは、レンの矢ケースを覗いた。


まだ、十分と言っていい程、矢は残っている。


ザコを1000体は殺せる程の矢の数、それなのにレンは調達する気なのか?


疑惑が芽生え始める。(もしかして、レンは射てないのではないだろうか)


それは、当たってた。レンは、射てないのだ。


ミオウは、レンの精神安定剤のような存在。


精神が乱れたレンには、射てなかったのだ。


それでもライトは、レンの後に着いていった。


レンは、きっと避けている。射ることを。


それでも、僕はレンの親友。


どこまでもついていくつもり。


行こうよ、行くことで君が変わるのならば。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ