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背後ではスライムやウィスプが、
プヨンプヨン、バインバインと、
思い思いに跳ねている音がする。
けれど必死に無視して草原に寝転がる。
「はいはい、んじゃあ、
お前の現実逃避が終わったら言えよ。
さっきの続き話してるからさ」
青臭い匂いがする身じろぎすると、
草を潰した匂いがして落ち着かなかった。
「女神に成り代わった後だっけ…。
悪い女神は人間の神官に天女として祀られてる。
悍ましい所業だよまったく、
なんて面の皮が厚いんだ。
環境を整えるなんてあの女にできるわけない。
ギャンブラーの嘘つき男神は女神を貶めた本人で、
悪い女神が罠を仕掛けて奴の部下を誑し込めて、
なんとこの第七階層の核に封印してしまいました。
やれやれ放浪癖の上に、
みんなを放置してるからそうなるんだよな」
語られる話の断片は、
少し興味深くてつい信介君の姿の魔物に尋ねる。
「それって、嘘つき男神は死んだんだよね。
でもさっき人間に転生したってそれとは別の人?」
「脳筋の事だな…。
うん、未だに釜にくべられた女神を探して、
この世を彷徨ってるらしいぜ。
第七層の王族はみんな脳筋を奉ってる。
脳筋が国の王族の一人に生まれると、
国は富んで魔物から守られるって話だ。
転生しても神だからな強い。
悪い女神とは仲悪いし、
脳筋は嘘つき男神の部下の子孫、
特に火属性の種族を殲滅しようとしてる」