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平凡な女は奪われました唇を
「---っ」
「ププ…間抜けな人間さん。
この釜は君のかな?
ここは忘れ去られた神の草原、
不定形の被造物の楽園だ。
可愛そうに能力もちだと、
忘れ去られた狭間に落ちやすいけど、
その顔じゃそういう知識もないのかな?
この不思議な繊維の服良いね軽いよ。
これこそ紙装甲じゃね?」
さくさくと草を踏みこちらに歩み寄る人影。
水中の金魚のようにはくはくと口を動かすが、
空気がただ通るばかりで音にならない。
「その顔いいね…もっと頂戴君の全部」
ごとんと人影が古めかしい釜を近くにおき、
恐怖で縮こまるこちらを助けて起き上がらせる。この世には三人か複数人、
自分と似た人がいるというけれど。
自分とそっくりな女が、
笑って抱擁と同時に口づけたのだ。
拒む間もなく何かが吸い取られるのがわかる、
力が抜けて行って思わず倒れそうになる。
眼もどんどん霞思考も鈍り始めた。
ガゴォォーン!!ゴォォーンゴォン…ゴン。
古めかしい釜が突然歪な音を立てて、
一気に元の通りに体調が戻る。
「ゲホォッゴホゴホ…」
「sd3pあせlはzs;dふじlfこ----っ」
「ここ…どこ?ひぃっあなたなんなの!!
化け物なのねっ、
ぎゃあぁぁ噛んだなこのぉっ」