青色の空
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僕は空を見ていた。
仲のいい友達もできず、頭もそれほど良くなく、何をするにもいいとこ中の上の僕は予想通りのぱっとしない人生を歩んでいた。
そしていつもどおり夕飯のための買い物を済ませて家に帰っていたところだった。
信号が点滅しているところにトラックが突っ込んで来たのだ。
道の真中には女の子がびっくりして棒立ちになっていた。
僕は全力で走った。そして女の子を道の向こうに押し飛ばした。
怪我はしょうがないが死ぬよりマシだろう。
その時だった。
急に遠くに飛ばされた。
トラックの運転手が急ブレーキをかけたのだろう。
トラックの進行方向が変わり自分を轢いたようだ。
僕の世界は反転した。
そうして、宙を舞った。
ああ、自分は轢かれてしまった。
なんとなく死ぬような気がする。
それもそうだろう。もろに車にはねられたのだから。
むしろ生きていたら奇跡だ。
そんなどうでもいいことを考えていたら、人の声がする。
なんだろうと思ったら、自分の姿が見える。
これが俗にいう幽体離脱だろうか。
僕が突き飛ばした女の子はどうなったんだろ。
周りの人が僕を指差して驚いてる。
それもそうだろうなとも思う。
だって、トラックのバンパーにもろにぶつかったんだもんな。
自分で見てもひどい死体だ。
腹が切れて内臓が出てる。
どれだけグロテスクに死んだんだよ。
遠くで救急車の音がする。
あの女の子は助かったみたいだ。
自分の血が流れていく。
体が冷えていく。
正義感であっさりと死んだ僕。
僕は空をまた眺めていた。
やっぱり空は青かった。