☆
【プロローグ】
甘いのもあるわ
珈琲のように苦いのも
薄荷みたいな味もある
好きなのをあげる
だからここにいて
深い海の姫がくれた
言の葉ドロップ
口に含めば
こぼれる詩々
【世界の果てまで響け、響け】
ええ私は
とても独りだけれど
大きな声で
うたうことができるから
世界のどこかで誰かが
私のうたを耳にして
私がここにいるのだと
知っていると想うのです
【黄色い救急車】
どうやら僕らは
気というモノが
ヒトと違って
いるようだ
みんなが指差すよ
こっち見て笑うよ
楽しいね
楽しいね
なんだかすごく
走り出せそうだ
乗っていくかい?
ゴー!
イエロー・アンビュランス
ゴー!
ほら病院も
裸足で駆けてくる
アンビュランスで
キスを交わせば
愛まで近づけますか
時速119km
スピード違反じゃない
飛ばそうぜ
飛ばそうぜ
なんだか本当に
飛べそうだ
乗ってるかい?
ゴー!
イエロー・アンビュランス
ゴー!
ゴー!
ゴー!
僕らを乗せて
走れ救急車
【しゃぼん玉】
しゃぼん玉
しゃぼん玉
虹色世界を
その身に映し
魔法みたいに
輝きながら
教える言葉は
「儚さ」だったり
【ノック!ノック!ノック!】
ノック!
ノック!
だあれ?
風の音
ノック!
ノック!
だあれ?
風の音だけど
ノック!
ノック!
だあれ?
よく聞いて
昨日とは違う
優しい音だよ
ノック!
ノック!
だあれ?
春だよ
【孤毒】
孤独
こ どく
どくどくどく
毒
全身が
麻痺するんだ
身動きできず
ただただ
酷く
痛むんだ
毒
どくどくどく
孤独
御愁傷様
もう致死量だ
【無いはずの痛み】
ありもしない
心が痛む
もう無いはずの
心が痛む
切って捨てた
心が痛む
在りし日を想って
鮮やかに
幻肢痛みたいに
【まきびと、ひつじを。】
さあ
探しに行きましょう
たった一匹の
迷える子羊
九十九匹を置いて
迷える子羊を
なんと優しき
牧人か
かわいそうな一匹のため
探しに行かれる
迷える子羊
探しだして
元の場に戻れば
哀れ
九十九匹は
皆残らず狼の餌食
迷える子羊は
その責任も知らず
のうのうと
生きるのです
さあ!
さあ!
探しに行きましょう
迷える子羊
選ばれし
一匹の子羊
九十九匹を犠牲に
一匹の子羊
ああ
導きたまえ
牧人よ
選ばれし一匹のための
幸せな世界
グローリア!
グローリア!
【きらり】
ああこんなにも
きらきらと
世界は
悲しみだけが
美しくて
【ネコミテ・ネコミタ】
今日のこの
春の日の
暖かさは
きっと君が
作ったもの
ほらそこで
羨ましげに
猫が
見てる
穏やかな
優しい日差し
それはそのまま
君だから
心地好い
眠たくて
丸くなる
猫
みたいに
ネコミテ
ネコミテ
ネコミタ
ネコミタ
【隙間から】
泣いて追いすがるものもあれば
泣いて諦めるものもある
大切なものが
その指の隙間から
こぼれ落ちやすい
手をしている
【くださいな】
愛はお金で
買えないと言うが
幸せはけっこう
お金で買える
愛だけが得たいものでなし
【君となら】
どこまでいこうか?
どこまでも!
【かみさまおねがい】
かみさま
かみさま
世界中の
みんなを救えなんて
無茶なことは
言いません
たった一人
僕だけ一人
どうかどうか
助けてください
かみさま
かみさま
一人だけです
簡単なことです
【これこそ、これこそが】
目を閉じないで
見てごらん
無数の死体
転がる大地
君
これが世界だ
【深度の違い】
磯の水溜まりより
遥かに浅い
君の言葉じゃあ
深海に住む
私の心に
響きやしない
深海から発する
私の言葉が
君には息苦しいみたいに
ね
【やだよう】
気付かれないよう
見つめてたり
きみとの未来
妄想してたりさ
少女まんがの主人公みたいに
かわいい娘ならね
許されるかもだけど
あーあ
あたし本当
気持ち悪いよなぁ
好きになるほど
想いは重くて
知れたらきっと
嫌われる
それでももっと
好きになるから
言えない想いで
潰れそう
きみのこと考えんの
もうやだよ
きみのこと好きになんの
もうやだよ
きみの夢ばっか見んの
もうやーだよう
【安物】
安っぽいのは恥ずかしいから
身に付けたくはないのです
君のくれた指輪も
君の言う言葉も
【ボヘミアン・ダンス】
赤い砂
裸足は跳ね
タンブリン
しゃらしゃらとん
地平線
足元に
流浪の旅人は踊る
悲しみは
置いてきた
喜びは
この道の先
信じて
そう信じて
歌声も高らかに
燃える夕日
静かな夜空
星の煌めき
その腕で
手のひらで
指先で
切り取って
かき混ぜて
振り撒いて
陽気に踊れ
ボヘミアン・ダンス
琥珀の酒
のどに流し
夜が明けるまで
世界祝福して踊れ
【腐る】
この季節は腐りやすくていけない
脳も心臓もぐちゃぐちゃだ
汚い汁がこぼれる
泣いているわけではない