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 Change of perspectiv 〜Arthur〜




 勇者パーティーの旅が始まってから、俺たちは悠久の時間を共に過ごした。

 空は相変わらず黒雲に覆われているので時間経過は分かりにくいが、感覚的に半年くらいは経過していると思う。

 先の見えぬ道を歩み続け、現在は魔王城のすぐそばまで辿り着くことができた。


 旅を通してわかったことだが、意外にも魔王軍も人類と同じく戦力が枯渇しているようだった。

 魔王城は前方に見える丘の向こうにあるはずだが、魔族の気配はそれほど多くない。


 ここまで辿り着いたということは、既に旅は終わりを迎えかけている証拠だ。

 ヴェルシュ、セシリア、そしてバザークは、焚き火を中心に食事をしながら和気藹々と談笑している。

 束の間のリラックスした時間だ。


 少しでも心を安らげて、魔王討伐へ備えている段階にある。


 こんな旅になるだなんて想像もしていなかった。


 だって、俺はずっと孤独だったから。


 物心がついた時から忌み子の烙印を押され、村中の人々から侮蔑的な視線を浴びせられた。

 ルイズ村は外部と交易をしない閉鎖的な村だったから、勇者候補の独特な雰囲気をその身に纏う俺は、徹底的に迫害されていた。


 村の人々は勇者候補という概念すら認識していなかったのだろう。


 やがて、五歳になる頃。

 気がつけば村から追い出されていた。

 村から立ち去る俺の名を叫ぶ父さんと母さんの顔が忘れられない。


 それから、俺は通りすがりの馬車の荷台に転がり込み、アルス王国に辿り着いた。


 死にたくなるような毎日だった。

 身寄りも知恵も何もなかった俺は困窮した生活を強いられ、薄暗い路地裏で長い時を過ごした。

 腹が減ればゴミを漁り、喉が渇けば濁った泥水を啜る。

 何度も何度も盗みや殺人で己の欲を満たそうかと考えた。

 だが、父さんと母さんの教えを思い出し、悪事に手を染めようとする心を自制した。


『悪いことをしたら必ず自分に返ってくるから、誰かのために生きなさい。自分のことを理解してくれる人を大切にしなさい』


 この言葉が俺の人格を形成したんだと思う。



 アルス王国に来てから一年が経ち、六歳になったばかりの頃。


 その頃から、自分が勇者候補であるという自覚が芽生え始めていた。

 タイミング良く、路地裏には錆まみれの剣が投棄されていた。

 剣を目にした瞬間、妙な使命感が胸中に湧き出し、無意識に剣を手に取っていた。

 剣のグリップなんて初めて握るはずなのに、自然と手に馴染む感覚があった。


 まるで、剣を手に取り、戦いの場に転じることを運命付けられているかのようだった。

 

 それから、一年、二年……五年と着実に年月を重ねた。剣を振っていくうちに、使命感は増長していった。

 時間を追うごとに魔王を討伐したいと思うようになっていた。


 遂には夢にまで出てくるようになった。


 未熟な俺が魔王に挑み、瞬殺される夢だ。

 似たような夢を繰り返し見ることで、夢の内容が俺の未来を示唆していることに気がついた。

 同時に魔王の強さもわかるようになったが、それは絶望以外の何者でもなかった。


 毎晩のように夢を見た。その度に敗北を喫した。俺の剣は一度として魔王に届くことがなかった。

 いつしか、深い眠りにつく事ができなくなっていた。

 夜半に鼓動が高鳴り、唐突に目が覚めてしまうのだ。

 そして、使命感に抗えずに剣を振り始める。

“俺は魔王を討伐しないといけない”という使命感を孕んだ強迫観念に駆られ、全ての時間を剣に費やす日々が始まった。


 時には一人でに国を抜け出し、モンスターや魔族の討伐へ赴いたこともある。

 その度に死にかけたが、同時に更なる強さを求めるようになった。


 アルス王国での暮らしを始めてから約十年が経ち、十五歳になった頃。

 俺はセイクリッド・アカデミーの存在を知った。


 アカデミーなんかに入学せずとも魔王討伐は可能だと思っていたので、実を言うと入学に前向きではなかった。

 しかし、魔王討伐のためには最低限の知恵が必要だという事も理解していた。

 一般常識や世界情勢とは無縁の暮らしをしていたので、然るべき機関で学びたいと考えた。

 

 結果から言えば、アカデミーへの入学は正解だった。

 あらゆる知識を取り入れることができたからだ。

 識字や計算は相変わらず苦手だが、モンスターや魔族に関する情報や世界の地理や地形、天候などに関しては深く学んだ。

 主に魔王の手に支配されたテリトリーやその近辺については、誰よりも、何よりも、神経を注ぎ込んで頭に叩き込んだ。

 

 代償として、村で受けた迫害以上の苛烈な扱いを受ける事になったが、それらは将来の糧になるから気にしていなかった。

 殴られる事で痛みに強くなれたし、罵詈雑言を浴びせられる事で精神を鍛えることができた。

 身分だけで他者を判断する愚劣な貴族を反面教師にすることで、より剣の腕に磨きをかけることもできた。


 更なる発見として、勇者候補が特殊能力を持つという情報を耳にした。


 ある勇者候補は手のひらから神々しい光の刃を顕現させた。

 またある勇者候補は聖なる光を全身に纏うことで、極限まで身体能力を向上させた。


 どれもこれもが凄まじい能力だった

 しかし、それだけでは魔王には届かないのだと、俺は確信していた。

 いくら特殊能力が強かろうと、根本的な基礎能力を鍛えなければ魔王の元に辿り着くことすらできない。

 それは過去の勇者候補たちが如実に証明していた。

  

 例に漏れず、俺も特殊能力を内に秘めていたが、それは皆のように万能で汎用性の高い力ではなかった。

 発動方法も限られていた。

 使えるのはたった一度きり。

 言わば、最後の切り札のようなものだった。

 願わくば、発動する瞬間が訪れてほしくない。

 考えるだけでゾッとする。

 ただでさえ、俺は他の誰よりも魔王討伐への使命感が強いというのに、特殊能力さえも特異なものだったのだ。


 死にたくない。死にたくない。死にたくない。

 臆病な俺は死に怯える恐怖とは裏腹に、使命感に駆られて剣を振り続けるしかなかった。


 この頃からだ。


 俺は魔王討伐を成し遂げたいと思う一方で、死にたくないという思いが顕著に現れ始めた。

 だが、怯えていようともいずれその時はやってくるのだと、夢を見るたびに現実を叩きつけられた。

 特殊能力を使えば死ぬのが目に見えていたからこそ、俺はがむしゃらに剣を振り続けた。

 一度でも特殊能力を使う覚悟を決めてしまえば、もう引き返せなくなる自覚があった。

 パーティーを組んでしまえば、確実に仲間に迷惑をかけてしまう。尊い命を奪ってしまう。自分が死にたくないのは当然として、自分のことを信じてくれた仲間を無駄死にさせたくなかった。


 だから、俺は誰とも馴れ合わなかった。

 アカデミーに入学した時からずっと孤独だったから、それは別に惨苦ではなかった。


 剣だけで魔王を討伐できれば、特殊能力なんて使わずに済むんだ。仲間なんて必要ない。

 俺は死ぬ事なく、平和な世界を取り戻す。


 勇者として……魔王を討伐する。


 心に決めた瞬間でもあった。



 

 アカデミーに入学してから一年ほどが経った頃。

 レミーユ・ヴェルシュに出会った。

 

 彼女は俺の特殊能力を知りたがっていた。

 高貴なハイエルフだというのに、俺と共に行動したいと志願してきた変わり者だ。

 その実力は本物だろう。

 五属性からなる魔法を満遍なく扱う事ができる魔法使いは、世界でも片手で数えられるくらいしかいない。賢者を目指すだけのことはあった。

 

 同じく、セシリア・ルシルフルも変人だ。

 彼女はアルス王国の第二王女だが、執拗に俺に構ってきた。どうして俺が剣ばかりを振り続けるのか、特殊能力を明かさないのか気になっているようだった。ヴェルシュと同じだ。

 アカデミーに所属していないというのに僧侶を目指しており、回復魔法で俺の傷を癒してくれたこともある。

 間違いなく、類い稀なる才能の持ち主だと言える。

 突発性のある感情的な行動が目立つ一方、現実主義な一面もあり魔王討伐への気概は本物だと思う。

 

 最後に出会ったのは、騎士のバザークだった。

 彼の身体的に優れた耐久力は目を見張るものがある。

 実力的には前者二人と比べて乏しいように思えるが、デコイをかってでる勇敢さと挫けない精神力は他に類を見ない。

 明るい性格や朗らかな雰囲気にも助けられた。


 俺は三人と立て続けに出会い、結果的に勇者パーティーを結成することになった。

 賢者モルドが過去に提唱した『勇者とその仲間は惹かれ合う』という推論は、おそらく正しかったのだろう。

 俺も三人のことを賢者、僧侶、戦士だと思うようになっていた。

 偶然と言えばそれまでだが、それは賢者モルドの推論を信じるに値する運命的な惹かれ方だった。


 俺は勇者だ。


 勇者候補ではない。


 本物の勇者だ。


 そう、確かな自覚が芽生え始めていた。


 剣を手に、一人だけで魔王討伐を成し遂げる。

 そう考えていた過去の自分とは決別していた。

 もしかしたら、三人と一緒なら魔王を討伐できるかもしれない。

 勇者パーティーを結成したあの日、確かにそう思っていた。

 特殊能力を使用することなく、俺たちが力を合わせれば……きっと魔王だって討伐できる。

 

 だが、いくら経っても夢の内容は変わらなかった。むしろ、勇者パーティーの結束が固まるごとに悪化していった。

 当初は俺が単騎で魔王に挑み、惨殺される夢だったはずなのに、今では四人全員が惨殺される夢に変化していた。

 俺の見る夢が必ず正しいとは言わない。ただ、俺の実力や心情に応じて夢の中身が変動しているのは事実だ。

 おそらく……このまま魔王に挑んでも勇者パーティーが壊滅するのは明白だった。


 それほどまでに魔王の強さは計り知れないのだ。


 どうせ死ぬ事実に変化がないのであれば、犠牲は少ない方が良い。


 だから、俺は——


「——アーサーくん、考え込んじゃってどうしたの?」


 考えに耽っていると、隣にセシリアがやってきた。小さな岩に座り込む俺の顔を覗き込んでくる。


「……少し、ぼーっとしていただけだ」


「そう? 最近はますます顔色が悪いよ? ちゃんと休めてる?」


「アーサー、あまり一人で抱え込まないでください。私たちが見張っているので休んでいても大丈夫ですよ?」


 セシリアとヴェルシュは揃って憂いた表情だった。


「……問題ない」


 俺は二人から目を逸らして答える。

 その背後ではバザークが不安を顔に滲ませている。

 自分たちも疲れているだろうに、俺の事を気遣うなんてな。やはり、三人に残酷な真実は教えられない。


「本当に大丈夫?」


「ああ」


「ならいいんだけど……バザークくん、魔王城はもう近いの?」


「かなり近いね。かつての大国にあったお城をそのまま流用しているから、そこの丘を越えたらすぐ見えると思うよ」


「そっか……ついに、魔王と戦う時が来たんだね」


 セシリアが呟くと、ヴェルシュとバザークも緊張した面持ちになる。

 三人とも十分に覚悟ができているようだ。


「そういえば、アーサー」


 緊迫した空気感の中、ヴェルシュは思い出したように手のひらを叩いた。


「どうした?」


「今日まで、ずっと聞くのを我慢してきましたが、そろそろ貴方の特殊能力について教えてくれませんか?」


「……」


「隠したい理由があるのはわかります。ただ、やはり私たちは知りたいです」


 それはヴェルシュだけの嘆願ではなく、セシリアとバザークも同じらしい。三人が真摯な視線を向けてくる。


 真剣さは十分に伝わった。

 しかし、この局面でそれを明かすわけにはいかなかった。


「知りたいか?」


「ええ」


 三人は期待を笑みに変えて力強く首肯していたが、これから俺が告げるのは紛れもない大嘘だ。


 どうか、許してほしい。


「……俺の特殊能力は……剣識だ」


「けん、しき……って何? ニュアンス的に剣に関係する能力のこと?」


 疑問を抱いたのはセシリアだった。顎に手を当て小さく唸っている。

 後は話を広げて信憑性を持たせてあげるだけだな。


「バザークにはそれとなく伝えたことがあったが、俺は剣のグリップを握っただけで対象の剣が業物か否か判別することができるんだ」


「あっ! じゃあ、聖剣の話は本当だったのかい?」


 案の定、バザークは食いついた。聖剣に特別な力がない事に気がついたのだって、本当は特殊能力なんかじゃなくて単なる特技だ。

 何の気なしにバザークに話したことがあるが、ここにきてそれが活きるとは思わなかった。

 バザークには悪いが、利用させてもらう。


「なんだ、信じてなかったのか?」


「いや、そういうわけじゃないんだけど……あんまり詳しく聞けてなかったし、まさかそれが特殊能力だとは思わなかっただけさ」


「……通説だと特殊能力はその全てが攻撃的な力のようですが、アーサーは違うのですね。まさか、その力を用いて聖剣の力を判別した……ということですか?」


 ヴェルシュが顔に疑念を滲ませるのも無理はない。聖剣の力に関しては、ここにきて初めて明かすのだから。


「その通りだ。剣識を用いて聖剣の力を確認させてもらったが、正直期待外れだった。

 聖剣には何の力も込められていない。

 大方、数千年前の勇者が周囲を安心させるために虚言を吐いたんだろうな。あんな剣なら持たない方がマシなくらいだ」


 俺はあたかも全てが真実かのように断言した。


 そもそも剣識などという特殊能力は存在しないが、聖剣に何の力も込められていないのは事実だ。

 古の祠とやらは確かに実在していたし、祠の最奥には剣が突き刺さっていた。

 しかし、その剣からは何も力を感じられなかった。手入れの施されていない剣は錆が目立ち、とても魔王を斬れるような代物ではない。まさしく数千年前の産物だった。

 唯一、古代の魔法である『聖剣を抜いた持ち主が死んだら、聖剣があるべき場所へ戻される力』については本当だろう。

 なまくらの剣は、一目でわかるほど使い古されて年季が入っていたし、抜けなかった勇者候補が多数存在したのも事実だしな。


 だが、聖剣を持っていようとなかろうと、それは勇者を見つける判断基準にはなり得ない。


「待って待って! アーサーくん、その言い方だと、君は本当は聖剣を抜くことができたって言ってるように聞こえるんだけど……まさか、わざと抜かなかったってこと?」


「ああ」


「え、そうなんだぁ……アーサーくんが最初から聖剣の力をあまり信じていなかったのは、特殊能力で確かめられるからなんだね?

 でも、どうしてあたしたちにそれを隠してたの? もっと早く打ち明けてくれてもよかったんじゃないの?」


「俺の特殊能力と聖剣の力に関する真実をこれまで隠してきたのは、お前たちのことを不安にさせないためだ」 

 

 これは本当だ。聖剣を盲信する世間にその真実を伝えたら混乱を招くのは明白だし、俺の特殊能力は自身だけでなく周囲にも危害が及ぶ。

 だからこそ、俺は一人で魔王討伐を成し遂げたかった。そうすれば無駄な犠牲を出さずに済むから。


「アーサーくん。それじゃあ、特殊能力を使うのにも覚悟が必要って話は何だったの? 剣識は攻撃的な力ではないから戦闘には使わないもんね?」

 

「あれは俺の見栄だ。こう見えても、俺は他の勇者候補に比べて自分の特殊能力が劣っているのを気にしているんだよ」


「本当?」


「本当だ」


 三人からの追求をそれとなく誤魔化していく。


 咄嗟に見苦しい嘘を吐く自分に嫌気が差す。

 三人は俺のことを信じて仲間になってくれたのに……俺はこうして裏切るような真似をしている。


 でも、仕方がない。

 

 俺が持つ本当の特殊能力を明かしてしまえば、情が湧いた三人が全力で俺のことを強く引き止めてくるだろう。そうすれば、魔王討伐を成し遂げることができなくなる。


 残念ながら、今の俺たちの実力では、正攻法で魔王に敵わない。


 俺が以前にも増して眠れない原因はそこにあった。

 ここに至るまでの約半年間、俺たちはあらゆる困難を乗り越えてきた。

 最初に、勇者パーティーを結成したあの日から、何百体もの強大な魔族と再三再四に渡り対峙した。その度に力を合わせて討伐した。

 時には命の危機に瀕したこともあるが、勇者パーティーは強かった。そう簡単に瓦解しなかった。

 着実に力をつけていた。俺には十分な手応えがあった。


 だからこそ、眠りにつく度に夢の変化に期待した。それなのに……現実は非情だった。

 今日に至るまで幾度となく夢を見たが、勇者パーティーは一度も魔王に敵うことなくあえなく滅ぼされ続けた。


 無論、俺が剣を手に一人で挑んでも結果は変わらない。夢の中で何度も挑んだが結果は同じだった。全てが失敗に終わった。


 もう残された手段は一つしかなかった。

 俺が覚悟を決めたその時、夢の中身は大きく変動するだろう。


「……ヴェルシュ、セシリア、バザーク。少し仮眠をとらせてもらう」


 俺は涙を呑んで決意を固めると、三人に声をかける。

 鼓動が早くなり、自制ができないほど全身が小刻みに震える。

 少しの間、眠りにつこう。

 覚悟を決めた今、夢がどう変容するのか見ておく必要がある。


「わかりました。私が見張っているので、セシリアとバザークも休んでもらって大丈夫ですよ」


「レミーユちゃんは休まなくていいの?」


「私は平気です。戦いを前にしてまだ眠れそうにありませんので」


「セシリアさん、僕たちが起きたらレミーユさんと変わってあげよっか。明日に備えてみんな休まないといけないしね」


「そうね。あっ、アーサーくんは眠ってていいからね?」


「悪いな」


 俺は三人に背を向けて横になる。


 死ぬのが怖いのは相変わらずだ。

 ずっとそうだ。

 使命感からの解放を望む一方で、戦いへの恐怖を拭えた試しがない。

 だが、それももう終わる。俺はこの身を捧げて全てに決着をつける。


「お前たちのことは絶対に生きて返す」


 三人には未来がある。

 唯一の家族を魔族に喰われ、身寄りも何もない俺とは訳が違う。俺には帰る場所がない。

 以前、バザークから村長の話を聞いたが、復讐する気はさらさらない。だって、父さんと母さんはそれを望んでいないだろうから。


 魔王が死んだら勇者なんてお役御免だ。

 聖剣を抜いていないからこそ、勇者である俺の死が公になることはない。


 死ぬのは怖い。ただ……最小の犠牲で最大の戦果をあげ、世界を救う方法はこれしかない。


 放とう。誰にも明かしていない俺の本当の特殊能力を。


——“終焉の一撃”を。


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