終 1 ーー トンネル ーー
終
1
深い、深いトンネルを歩いていた。
遠い先に微かな光が見えていた。
そこに行かなければいけない、奇妙な使命感に支配されていた。
私だけじゃない。
トンネルを進んでいたのは、私に美月。圭一と幸太郎。
そして、少し離れた後ろで坂口が歩いていた。
こんな暗いところは面倒と、圭一と幸太郎は先に走り出し、美月も怖くて気持ち悪い、と後に続いて先に行ってしまっていた。
私としてはどうしても走る気になれず、気味の悪いトンネルをゆっくりと歩いていた。
すれ違う人はそれほどいない。
何人かの人とすれ違ったけれど、みな奇妙な格好をしていた。
まるで、後ろの先を抜けた場所でコスプレイベントでも起きているのか、と疑いたくなるほどの派手で、何かしらの武器を持っていた。
特に、ついさっきすれ違った二人には目を奪われた。
一人は金髪の屈強な男で、女はブロンドの長い髪を流した、モデルみたいな綺麗な人だった。
この人らもどこに行くのだろう、と振り向くと、なぜか坂口と話しているみたいな様子が見えた。
知り合いなのかな。
と、不思議になりながら、前を向いてまた歩き出した。
ま、私には関係ないし。
しばらく歩き、長いトンネルね、とあくびが出そうで、口元を手で隠したとき、背筋が急に寒くなる。
顎を上げると、また一人、こちらに歩いてくる人物がいた。
闇が支配するなかで、より黒さが際立つ人物。
全身を黒い布で覆った奇抜な人物で、気味悪さがより肌に突き刺さる。
あまり関わらないようにしよう。
早くすれ違いたい。
歩きながら強く願ってしまう。
ーー 彰をよろしく ーー
黒ずくめの人物とすれ違った瞬間、頭に直接白い文字が浮かんだ。
誰かが訴える想い。
どうしても無視できなかった。
咄嗟に振り返った。
離れたところで、うつむき加減で歩く坂口。
すれ違ったばかりの人物は突如、消えていた。
いいの? これでいいの?
黒ずくめに問いかけてしまう。
「いいの? ねえーー」
黒ずくめの彼女の名前を叫びたかった。
でも、
でも、名前を叫んじゃいけない気がした。




