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異世界から帰ると  作者: ひろゆき


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63/65

 終  1  ーー  トンネル  ーー

          終


          1



 深い、深いトンネルを歩いていた。

 遠い先に微かな光が見えていた。

 そこに行かなければいけない、奇妙な使命感に支配されていた。


 私だけじゃない。


 トンネルを進んでいたのは、私に美月。圭一と幸太郎。

 そして、少し離れた後ろで坂口が歩いていた。

 こんな暗いところは面倒と、圭一と幸太郎は先に走り出し、美月も怖くて気持ち悪い、と後に続いて先に行ってしまっていた。

 私としてはどうしても走る気になれず、気味の悪いトンネルをゆっくりと歩いていた。

 すれ違う人はそれほどいない。

 何人かの人とすれ違ったけれど、みな奇妙な格好をしていた。

 まるで、後ろの先を抜けた場所でコスプレイベントでも起きているのか、と疑いたくなるほどの派手で、何かしらの武器を持っていた。

 特に、ついさっきすれ違った二人には目を奪われた。


 一人は金髪の屈強な男で、女はブロンドの長い髪を流した、モデルみたいな綺麗な人だった。


 この人らもどこに行くのだろう、と振り向くと、なぜか坂口と話しているみたいな様子が見えた。

 知り合いなのかな。

 と、不思議になりながら、前を向いてまた歩き出した。


 ま、私には関係ないし。


 しばらく歩き、長いトンネルね、とあくびが出そうで、口元を手で隠したとき、背筋が急に寒くなる。

 顎を上げると、また一人、こちらに歩いてくる人物がいた。


 闇が支配するなかで、より黒さが際立つ人物。


 全身を黒い布で覆った奇抜な人物で、気味悪さがより肌に突き刺さる。


 あまり関わらないようにしよう。

 早くすれ違いたい。

 歩きながら強く願ってしまう。


 ーー 彰をよろしく ーー


 黒ずくめの人物とすれ違った瞬間、頭に直接白い文字が浮かんだ。


 誰かが訴える想い。


 どうしても無視できなかった。

 咄嗟に振り返った。

 離れたところで、うつむき加減で歩く坂口。

 すれ違ったばかりの人物は突如、消えていた。


 いいの? これでいいの?


 黒ずくめに問いかけてしまう。


「いいの? ねえーー」


 黒ずくめの彼女の名前を叫びたかった。

 でも、

 でも、名前を叫んじゃいけない気がした。

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