表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界から帰ると  作者: ひろゆき


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

10/65

 第一章 8  ーー ある人物 ーー

         

           8



 昨日の夜、私を襲ったのは誰だったの?


 あれは夢でもなければ幻なんかじゃない。

 現実だと奇妙に受け入れてしまう。

 それでもあれから、どうやって家に帰ったのかすら曖昧になっている不思議な感覚。


 なんか、気持ち悪いな、やっぱ。


 それでも、思い出すことに自信がないまま、時間だけが流れていた。

 それも相まって、朝になって、学校に行く足取りはより重くなっていた。

 極論、ズル休みをしてやろうと、ベッドのなかで数分悩みもしたけれど、休まなかった。

 邪な気持ちをごまかしても、確かめたい事情ができてしまった。


 学校の廊下。

 重い足を奮起し、教室に踏み込むと、一点を鋭く睨んだ。


 その人物の特長は?

 と問われると、数十秒は黙ってしまうかもしれない。

 クラスのなかでも人の影に埋もれて目立つことのないだろう人物。

 頼りがいのない、いつもオドオドしてうつむいている人物。


 坂口 彰。


 窓際の席ですでに登校し、頬杖を突いてうたた寝している姿を、真っ先に確認せずにはいられなかった。

 やる気がないのか、気怠い表情。

 それでいて、また誰かにイジメの標的にならないだろうか、と警戒し、目つきを厳しくする姿に胸が詰まる。

 イジメの標的にされた人物を、普段から気にすることもないのに、今日だけは眺めずにはいられなかった。


 大丈夫…… 大丈夫なんだ。


 周りの人らに悟られまいと、平常心を装って教室を横切り、自分の席に座った。

 高ぶる安心感をごまかした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=786867997&size=300
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ