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第6話 大切な幼馴染を守るために

 油断していたらしい平野は、俺の拳をモロに食らっていた。



「――がはあああああああああああ!?」



 ゴミのように吹っ飛んで壁に激突。

 俺はこの隙に藍を救出した。

 制服が乱れて下着が見えていた。可哀想に。

 俺は制服(ブレザー)を脱ぎ、藍の体に被せた。


「赤くん、助けてくれてありがと……! 怖かった」

「今すぐに部屋を出よう。職員室に向かって先生に報告するんだ」

「うん、そうだね……」


 平野を野放しにするわけにはいかない。コイツにはきちんと報いを受けてもらう。

 急いで部屋を出ようとすると、平野が叫びながら立ち上がっていた。



「紫藤ォ!!」

「もうやめろ、平野。お前の負けだ」

「負けぇ!? まだだ、まだ終わらんよ。紫藤、切り札ってのはなァ……こんな時にとってあるんだよ!!」


 右手になにかを持ち、突進してくる平野。俺は回避できず、それを浴びた。



「ぎゃああああああああああ!!」



 バリバリと放電する何か。

 こ、これは……スタンガンかよ!!

 学校にこんなモンを持ってきているなんて!!



「赤くん! うそ……!」

「い、いいから……藍、お前は逃げ……ろ」

「でも!」

「……お、俺に構うな。なんとか……するさ」

「分かった!」



 藍を先に行かせようとしたが、しかし平野は直ぐに藍にスタンガンを浴びせていた。



「逃がすかよ!!」

「きゃっ!?」



 藍が一瞬で気を失って倒れてしまった。

 くそっ……助けてやりたいのに、体がしびれて動かねえ……。



「ふは……ふはははは……! 形勢逆転だなぁ、紫藤ォ」



 邪悪に笑う平野は、倒れている藍の方へ向かう。

 ま、まさか……!



「お、おい、やめろ! 藍に手を出すな!」

「ククク……。紫藤、お前はそこで指をくわえて見てろ! 今から目の前でこの女を裸にむいて犯してやるからよ」


 一枚、また一枚と藍の服を剥いでいく平野。その度に俺は怒りと殺意が湧き出た。……許さん。絶対に許さん。


 一度ならず二度までも俺から奪う気か……。


 ふざけんなっ!


 全身がビリビリでまともに体を動かせない。でも、それでも俺は諦めない。指を動かしていく。全力でだ。


 鼓動を早くして、血のめぐりを加速させていく。呪縛を解くようにして、鉛となっている体を起き上がらせていく。


 重い……クソ重い。


 胃液が逆流しそうなほど吐きそうだ。本来なら倒れていてもおかしくなかった。けど、こんなところで白目をむいて倒れている場合じゃない。


 そうだ、俺よ。まだやれる……。

 俺は昔から諦めだけは悪かった。

 スポーツは苦手だったけど、諦めない心だけは持っていた。忍耐力でそれなりの成績を残せていたし、格闘技に興味をもって親父から習っていたこともあった。

 最近もトレーニングだけは欠かさず続けていた。


 おかげでスタンガンを食らっても少しは耐えられていた。


 だから、まだやれる。



「…………平野!」

「……なッ! 紫藤、貴様まだそんな体力が!」

「藍はな、俺の大切な幼馴染なんだ! 彼女を守る為ならこんなもん屁でもねぇよ!」

「よく分かった。もう一度しびれさせて、今度は気絶させてやるよ!!」


 またもスタンガンを向けてくる平野。

 いいぜ、やりたきゃやればいい。

 俺は絶対に耐えてみせる。


 やがてスタンガンが俺の胸元に。



『――バリバリバリバリバリ!!!』



 神経を通り、全身が感電するような物凄い電気を俺は浴びた。……こ、こいつスタンガンの威力を上げやがったな。違法改造品かよ……。



「……これで終わったな、紫藤」

「だからなんだ」

「…………なッ」

「こんなビリビリグッズのオモチャみたいな攻撃……効かねえんだよおおおおおおおお!!」



 気合でスタンガンを奪い、俺は威力を最高値に上げた状態で平野に浴びせた。



「や、やめ……ぎぃやああああああああああああああああああああああ……!!!」



 先ほどのバリバリよりも、バチバチみたいな弾ける音がして平野を焦がすように電気ショックを与えていた。

 やがて平野は白目をむいて、その場にぶっ倒れた。


 なんとか倒せて良かった。

 早く先生に知らせないと――く、ダメージを食らい過ぎて意識が朦朧(もうろう)とする。ひどい立ちくらみがする。


 そ、そうだ……スマホの緊急通報機能を使おう。


 意識がぶっ飛びそうになりながらも、俺は画面をタップしていく。……あと少し。これで……位置情報も知らせられたはず……。


 これ…………で。

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