ぎゃく ぎれ
気づいたら敵が槍襖で包囲網を作っていました。
卑怯なり。
まあ確実に私達が悪いのですが。
喧嘩などしている時ではなかったのです。
「団長、どうします。
援軍はなし、奇策もなし、ついでに時間もなしですよ。」
「後ろはどうです?」
「我々が開けた穴も塞がれてます。
確実に殺りに来てますね。」
むう…
突っ込まれるのは良くても、抜かれるのは嫌なわけですね。なんたる淫乱か!
我が傭兵団にはそう言う女の方が好きという者もいますが、現状ではとってもありがたく無いです。
できるならば清楚可憐な処女の様に一撃離脱される馬鹿でいて欲しかったです。
「降伏は?」
「おすすめは出来ませんね。良くて強制労働、肉体奉仕がいいとこです。
悪けりゃ普通にぶっ殺されますよ、多分。
まあ団長は見目が良いので人気者にはなれるでしょうが…」
「却下!頭の沸いた貴族の妾になるより悪くなってますよ!」
降伏は幸福ならず、ですか。
金銭での交渉もあてにはできませんね。
我々は傭兵団ですから、雇い主は保釈金なんぞ払ってくれないでしょうし…
…はぁ。
南の腑抜けた雑兵あいてに楽に稼げると思ったんですが、そう簡単には行きませんねぇ。
まぁ仕方ありません。
生きるということは大変であるからこそ価値があるのだから。
「副長、初志貫徹で行きましょう。」
「はぁー、、やれやれ。
そうなると思ってましたよ…」
まあいつもの事ですからね!
我々は結成から殆どスタイルを変えずに来ていますから。
さあ、答えは出ました。
みなさん、覚悟はいいですか?
「ふふっふふふふっ!
進路がない?
退路がない?
だからどうした!
援軍もなし?
敵中で孤立?
だから!?
それがなんだというのです!!
我々はどうしようもないクズの集まり!
笑う子は殺し、泣く子も殺し、逃げる者も殺す!
我々は北の傭兵団!
僅かばかりの食糧を。親が、子が、親友が!
殺し合い奪う地ですら恐れられし、悪魔の集団!!
行手を森が遮るなら、茂る木々など燃やしてしまいなさい!
その先に川があるのなら、燃やした灰で埋めてしまいなさい!
神が天から雷を落とすなら!
引きずり堕として素っ首掻っ切ってしまいなさい!!!
道が無ければ造るのみ!
ただ金と命のためにっ!!
とつげきいぃぃぃぃぃ!!!!」
此処はすでに敵陣奥深く!
つまり本陣はすぐそこにある。
そして先程から慌ただしく命令を伝える兵が出ている大元、あそこに大将がいるのでしょう?
大将首、頂きに逝きますよ!!