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ぷろ ろーぐ
踏み躙る。
倒れたものを足蹴に前へ出る。
同じ事をいくつも繰り返し前へ。
目の前の敵は膨大で、対してこちらはたかだか50ほどの小勢。
もしも戦場を上空から見下ろす事が出来たならば、莫大な敵は津波の様に見えたかも知れない。
敵が津波ならば、それに向かい行くものはどんな風に見えているのか。
海の怒りを鎮めるための生贄。
嵐の中を行く難破船。
はたまた。
それは誰から見ても無謀に映る行為だろう。
しかし、その波に進む彼女は、まるで気にした様子もない。
黒い髪を後ろに束ね、意思の強そうな碧眼はただ前を向く。
屈強な男に相対して、非力に見える彼女は一太刀に
なんの苦労もないかのように、彼等を魂の抜けた器にしてしまう。
そうして作った波の穴に一歩を踏んで、その後ろを行く者達が広げて行く。
力みも感じさせず、無造作にただ前へ。
その様は命を奪いあう戦場にあって異様であり
美しくすらあった。