北西大通りにて
次の日の朝、聖剣騎士団の面々とソウル達は任務のために各自持ち場につく。
「昨日はすいませんでした」
ソウルは開口一番マリアンヌに頭を下げた。
「いいよいいよ。悪いのはどうせデュノワールだろ?」
マリアンヌは飄々(ひょうひょう)としながら告げる。
「あのゴキブリに付き合ってたら、身が持たねぇから、程々にな?」
「りょ、了解です」
はい、身をもって体感いたしました.......。
「そんなことよりもソウル」
するとマリアンヌはこそっと耳元で告げる。
「シーナを不幸にしたら、許さねぇからな?」
「.......はい?」
ソウルは突然出てきたシーナの名前に首を傾げた。
「それにしても.......」
マリアンヌは周りのサルヴァン兵を見渡しながら告げる。
「あたしらだけでいいって言ったのに、なんで何人かついてきてんだか」
マリアンヌはため息をつく。
「これじゃ、作戦が台無しになるかもしれないですね」
この隠れ家にはソウルとマリアンヌ以外にも5、6名のサルヴァン兵がついて来ていた。それもあからさまに兵士といった格好でだ。
「サルヴァン公は何考えてんだよ」
「さぁ...おれには難しいことはよく分かんないです」
ソウルは頭をかいて答える。
「あたしもだよ」
そう言いながらあっはっはとマリアンヌは笑った。それを見ながらマリアンヌらしいと思ってソウルは壁に背をつける。
ソウルとマリアンヌが身を潜めているのは北西通りの空き家だった。広くはないが数名で潜むには問題なく、通りもよく見渡せる。
大通りは大層賑やかでさまざまな屋台が立ち並び、沢山のキャラバン達が荷物を運んでいる。中には中身がよく見えない馬車もあったりするのだが、一体中には何が入っているのだろうか。
「でも、暑いっすね」
ソウルはパタパタと手で仰ぐ。
この地域の日中はかなり暑くなる。この白い岩は熱を吸収する性質があるため、外にいるよりは幾分も涼しいのだが、それでもかなりの暑さだった。
それに加えてソウルはマントを羽織っているのでさらに苦痛だ。
「確かにな.......はぁ」
そう言うとマリアンヌは服のボタンを外す。マリアンヌの少し控えめな谷間があらわになる。
「っ!」
ソウルは目のやり場に困って目をそらした。
「ん?恥ずかしがってんのか?」
それを見たマリアンヌはニヤニヤしている。
「じょ、女性なんで、気をつけてください」
「.......へぇー?」
そんなソウルをマリアンヌはますます楽しそうに眺めた。
「こんなあたしでもそんな風に見てくれるんだ」
「そんなの、当たり前じゃないですか!」
はっきり言って、マリアンヌは小顔で目元はシュッとしており綺麗な顔をしている。
それに、元気にイキイキしているところがとても可愛らしくて魅力的だと思う。
「ふふっ、そんな物好きあんたとあいつぐらいだよ」
「あいつ?」
「さぁ、誰のことだろうな」
大事なところはそう言ってはぐらかされた。気になる。
その時だった。
「伝令!ビーストレイジが北東大通りに出現!」
ソウル達の潜む空き家にサルヴァン兵の1人が飛び込んできた。一同の緊張が一気に高まる。
「いよいよか」
マリアンヌがゴキゴキと腕を鳴らした。
「北東.......シーナとケイラさんのとこですね」
「だな。だがこっちにも敵が回ってくる可能性はあるから、油断するなよ?」
マリアンヌの忠告にソウルも頷く。
「.......シーナ、大丈夫だよな?」
ソウルは側で守ることができない歯がゆさを感じるのだった。




