龍の休み場
ソウル達が居住区……住宅街を抜けると、そこには大きな川が1つ流れていた。
立派な煉瓦造りの橋を越え、すぐのところにこじんまりとした宿屋が佇んでいる。
そこには古びた看板で【龍の休み場】と、まるで赤ん坊が書いたような砕けた字体で書かれていた。
「ここか?例の宿屋ってのは」
「あァ。ここダここダ」
フィンはじっと看板を見上げながら何かを懐かしむように告げる。
「では、もう参りましょうか。ここで長居しても意味は無いでしょう」
シェリーの一声でソウル達は早速宿屋【龍の休み場】の扉を開いた。
ーーーーーーー
扉を開くと、そこには丁度宿泊の手続きを進める5人の姿があった。
「レイ!」
「ソウル!無事にたどり着けたんだね」
振り返るとそこにはいつもの爽やかな笑顔を振りまく相棒の姿。
どうやらそっちも無事にここまで辿り着けたようだ。
互いの安否を確認した後、ソウル達も早速宿泊の手続きを進める。
「いらっしゃい」
受付にはお世辞にも人当たりが良いとは言えないような気難しそうな顔をした老人が立っている。
痩せこけた顔に丸い眼鏡をかけたその老人は刺すような金の瞳でソウル達を一瞥した。その威圧感に思わず尻ごんでしまいそうになる。
「え…と……3人で1部屋。頼めるか?」
「……」
すると、店主の瞳がピタリとフィンに止まる。
フィンの方もジッと店主の顔を見上げて固まっていた。
「……?」
「……あんたらさっきの客人の知り合いか?」
「え、えぇ……まぁ」
ソウルは若干の違和感を感じつつも頷く。
「そうかい……」
そう言うと店主はソウル達にやけに古ぼけた鍵を手渡す。
「悪いが……近場の部屋は用意してやれん。だがその代わりいい部屋にはしといてやる。手入れだけは……しっかりとやって来たからな」
「……?お、おぅ」
「イッヒッヒ。ありがとナ」
よく分からないが……取り敢えずこうして無事に目的の宿屋に拠点を構えることに成功した。




