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シュタールへの道

 ディアナの塔でエヴァ達の報せを待つ一行は歓喜した。


「そうか……!見つけたんだね、シュタールへの道を」


「えぇ。これで現状を打開する道が見えて来ました」


 吉報を持って帰って来たエヴァは疲れなんて忘れて晴れやかに告げる。


 まずは最初の難関、ヴルガルド国の首都シュタールへの道が開けたのだ。


 当然のことだろう。


 当然のことなのだけれど……。



「……んで?何でおめーらはそんな浮かねぇ顔してんだよ」



 皆の視線が集まるのはそのエヴァの後ろでズーン……沈んだ顔を浮かべるソウルとオデット。


「み、見つけたんですわよね?」


 状況が好転しているのになんでこの2人はこんな顔をしているのか……と、アルは苦笑いする。


「はい。何ならソウルさんの力でその迷いの石窟を踏破することも可能かもしれないと聞いてます」


 そんなアルに向けてモニカも補足で説明してくれた。


「へぇ……それじゃあもう後はそこを抜けてシュタールに向かうだけじゃないか」


「……」


「……」


 にこやかに告げるレイに対しても、ソウルとオデットはガックリと項垂れたままだ。


「ソウルだけならまだしも、お前らしくもねぇな、オデット。一体迷いの石窟で何があった?」


「……じ、実は」


 何かを察したライの問いかけに応える形でソウルとオデットは迷いの石窟で遭遇した魔獣と……そして例のあのうすら笑い声について話した。


ーーーーーーー


 ソウル達の話を聞いたみんなの反応は様々だった。


「あのなぁ……ガキじゃねぇんだからそんなくだらねぇこと言ってんじゃねーぞ」


 呆れ果てた顔をするギド。


「あっあっあっあっあったりめぇですわよ!おっおばっ、おばけかけなんているわけががないじゃないですの!」


 震え上がって自慢の耳がしゅんと項垂れ言葉遣いも訳わからないことになっているアル。


「…………」


 何も言わないが見る見る顔が青ざめていくシーナなど……。


「ふーん。でもさ……」


 そこに一石を投じるようにレイは1つの問題を提起する。



「その迷いの石窟に、魔獣がいたってのは事実なんだろ?だったら何かしらがそこにいるってことは間違いなさそうだね」



「ひいっ!?」


「大丈夫だよエリオット。何が出てきても僕が君を守るから」


「ヴェン……!」


 カッコつけてるとこ悪いがヴェン。お前膝から下ガクブルに震えてんじゃねぇか。


 2人の溢れ出るハートを受け流しつつもソウルはガシガシと頭をかく。


「まぁ……そんなわけだから、あんまり行きたくねーなって思っただけだよ。でも、今はあそこを抜けるしか道がねぇんだよな……」


 だったら、腹を括るしかないだろう。


 ただでさえ茨の道なんだ。『お化けが怖いから』なんて理由でその道を閉ざすなんて馬鹿らしい。


「よし、それじゃあ決まりなの!」


「うむ!私達も出来うる限りのサポートはするぞ!必要なものがあったら言ってくれ!!」


「……っ(こくこく)」


 オアシスに残る仲間達も心強い言葉をかけてくれる。


 出立は1週間後。それまでに各々で必要な準備を整えておくこととなった。

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