オデットの過去3【強気な少女の追跡劇】
シルヴァの戯言を聞いた後、オデットは1人自身のベッドに身を埋める。
「ムカつく……」
あんな奴が強い?何を言ってんのよ。そんなわけないじゃない。
私は間違ってない。私の道が正しいに決まって……。
『そうすれば……どうだ?それで幸せか?』
「……っ」
蘇るのはシルヴァの言葉。
あの言葉がオデットの心に深く突き刺さっていた。
「……アホらしい」
寝返りを打ちながらオデットは思考を投げ出す。
そしてそのまま、まどろみに身を任せて深い眠りに落ちた。
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次の日。
「いってきまーす!」
ソウルは昼食を済ませた後、孤児院を飛び出す。
いつものこと。彼は朝は孤児院や近くの山々を駆けずり回った後、昼食をとってまた出掛けていくのだ。
そんなソウルの背中をコソコソと追いかける小さな影。
「……上等じゃない」
ギラギラと怒りを隠そうともしないオデットは呑気に村を駆けるソウルの背中を追う。
今日1日、あんたのことを観察させてもらうわよ……。
そして、あんたがただの弱虫で弱っちいってことを証明してやるんだから。
そうすればあのふざけたクソ神父にギャフンと言わせてやれるはず!
そんな決意を胸にオデットはコソコソとソウルを尾行するのだった。
「いやぁー、やっぱりお前さんは単純で扱いやすいなぁー」
ちなみに、そんなオデットの背中を見てニヤニヤと笑みを浮かべるシルヴァの存在にオデットは気づいていない。
これも全て、シルヴァの計算通りだった。