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想起

 しばらく歩き進めていくと、あまり見覚えのない場所へと出る。


「ねぇ。やっぱりこれ道間違えたんじゃないの?」


「……」


 オデットの指摘にソウルは返す言葉もない。


 暗くてよく分からないが、多分この道は俺達が走ってきた道じゃねぇな。


「……しっかりしてよ。カッコつけといて、ダッサイ」


「だ、大丈夫だよ。すぐに地上に出る道まで戻れるさ」


 何の根拠もないけれど、それでもソウルはそう告げる。


 引きつってはいるが笑顔を何とか引きずりだしながらソウルは辺りを見渡す。


 4つぐらいに枝分かれした道。


 うち1つは深い底なしの穴のようになっていて通れない。


 上に向かう道を選べば少なくとも地表の近くに出れるだろう。


 登り坂となっている道をソウルは選ぶ。


「ほら、行くぞ」


「……ん」


 なんだろう?さっきからあまり元気がないけど……。


 そんなオデットを少し心配しながらソウルは頭をかく。


 不安なのかなぁ?


ーーーーーーー


 オデットは、何故かとても気持ちが落ち着いていた。


 先程まで感じていた恐怖はどこかへと消え、前を歩くソウルの背中を追いかける。


 何で……こいつはいっつもこうなんだろう。


 いつもいちいちうるさいし、ムカつく。だと言うのに、どうしてこんな時はこう……頼もしかったりするんだろう。


 オデットはボーッと、過去を思い出しながら物思いに耽る。


 かつての約束。幼い私とあんたで交わした誓い。


 ねぇ、約束してくれたじゃない。そうなのに、何であんたはそれを守ってくれなかったの?


 何で今更……こうして私の前に現れたのよ。


「………ト、……ット!」


 無責任だ。今更こうして現れてくれるなら、どうして私の前からいなくなったのよ。本当は……本当は私、あの時……。



「オデット!しっかりしろ!上だ!!」



「……え?」


 ぽかんとするオデットが上を見上げる。


「……あ」


「アァ……」


 そこにいたのはさっきのドクロの顔をした化け物。


 そいつはオデットの真上にぶら下がるコウモリのように立ち、黒いローブの中からギラリと光る鋭い爪を振る。


「しまっ……」


 状況を理解したときにはもう遅い。


 オデットの首に目掛けて奴の爪が振り下ろされた。

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