因果
モーガンはソウルとオデットを連れて村のはずれへと向かう。
「ほっほっほ。お前さんは召喚術士なのか?」
「え、えぇ……まぁ」
頭をガシガシとかきながらソウルはモーガンの質問に答える。
シンセレス国では排斥されることはないと分かっていても、自分が召喚術士であることを明かすのにまだ慣れない。
「なるほどのぉ。時代の流れとはいやはや……面白いものよのぉ」
「面白い?」
モーガンのセリフの意図がいまいち読み込めないソウルは首を傾げる。
「そうじゃ。召喚術士のお前さんやエヴァ様が、まさかあの子と一緒にこの村にくるとは思わなかった」
「何でだ?」
召喚術士だと何か問題でもあるのだろうか?
「いや……別にどうというわけではないのじゃが……ドミニカの一族と召喚術士が、この因縁の地に共に現れるとは、運命とは面白いものだと思っての」
「……?」
ソウルはモーガンの意図を汲み取りきれずに首を傾げる。そんなソウルを横目にモーガンは続けた。
「歴史は……繰り返してはならぬ。かつてあの洞はドミニカの一族にとっては地獄の入り口じゃった」
モーガンがそう切り出すと同時に前方に小さな岩を積み上げたような何かしらの人工物のようなものが姿を現す。
それは小さな石造の小屋のようで、扉はない。
中には狭い石階段が地の底へと向かって伸びており、暗闇に支配されたその先は一体どうなっているのか全く分からない。
その闇の世界を目前にしてソウルだけでなく、隣のオデットも息を呑むのが分かった。
「どうか……この道が、絶望の未来ではなく明るい未来のために続く道とならんことを……わしは祈っておるよ」
モーガンは真剣な顔でそう言うのだった。




