新たな任務
「ソウル!遅いよ!」
レイが手を振る。
「す、すまねぇ!」
錬金屋の老婆と話し込んでしまいギリギリになってしまった。
「もう、説明が始まるみたい」
シーナは城の中を指さす。
3人は急いで門をくぐり大広間へと進んでいく。そして3人が大広間に入ると周りがざわざわと騒がしくなった。
「おい、見ろよ。あいつらドランクール遺跡の...」
「遺跡をめちゃくちゃにしたやつらだろ?」
「さすが【ジャガーノート】だ.......関わらねぇほうがいい」
「レイくんだ.......カッコイイ」
「あの魔法使えないやつも周りを巻き込んでめちゃくちゃやったらしいぜ」
「色々言われてるね」
レイがあははと笑う。
「いや、お前だけなんかおかしいだろ」
ソウルはジト目でレイを睨むがレイは全くこたえていない。
「.......ごめん、私がいるせいで」
すると、シーナがしょんぼりと俯いている。
「気にすんな、おれにとってはいつものことだし。それにお前がいてくれないとおれは嫌だぞ?」
ソウルはポンポンとシーナの頭を撫でた。
「.......っ」
そしてシーナの顔が真っ赤になる。
「ちぃっ!」
.......なんだろう。なにやら殺気が。
「バカだなぁ、ソウルは」
レイは呆れている。
「.......っ、.......っ」
シーナはもっと撫でて欲しそうにしていた。まるで仔犬のようだ。
「またお前たちか.......」
すると後ろから声が聞こえる。
「頼むから、少しは真面目にやってくれないか」
白髪頭に厳格そうな顔持ちの大男がため息をつく。確か聖女様とよく一緒にいる騎士だったはずだ。
「す、すいません」
ソウルは頭をかきながら謝る。
「.......ごめんなさい」
シーナもしょんぼりしながら後に続く。
「.......はぁ、これから先が思いやられる」
白髪の騎士はそう言うと前の方へと歩き去っていった。
ーーーーーーー
「諸君!よく集まってくれた!!」
新米騎士の前に立つ聖女ジャンヌが声を上げた。
「各々先日の任務を乗り越えてここにいる、その事実を胸に刻みこれからも精進してくれ!」
相変わらずの迫力にソウルの気が引き締まる。
「さて、これから君たちには上級騎士団の下について実践を積んでもらう!」
ざわっと会場が動揺の渦に包まれた。
このイーリスト国では騎士団には第1〜第5までの5段階の階級がある。
第5級であれば今のソウル達とほぼ同じで、あまり危険な任務ではなく街の巡回や細かい派遣任務などの仕事内容だ。
それが階級が上がっていくにつれて危険な任務への参加や国の情勢を動かしていくような事件への介入など任務の内容の質が上がっていく。
そして第1級騎士団ともなると今の聖女様のように国をトップで動かしていくほどの影響力を持つほどの存在になるのだ。
その上級騎士達と共に仕事をするとなると任務の危険度はもちろんその重要性も跳ね上がる。下手をすればこの国の命運をかける事もあるかもしれない。
「言ったはずだ!君達はもう立派な騎士だと!戦いの最前線で君たちに何ができるのか、上級騎士団は何を持ってその肩書きを背負っているのかを肌で体感してもらいたい!」
ジャンヌは剣をまたカァン!と床に突き立てる。
「無論、メインで動いてもらうつもりはない。基本的には我々のサポートだ。我々の働きを側で見て学んで貰いたいと考えている。これは我々からの君達への期待の表れだと思ってくれ」
そう言うとジャンヌはふっと微笑んだ。
その美しさに男たちは「おぉ.......」と恍惚な表情を浮かべ、女性陣も「キレイ.......」と見惚れていた。
「ほー」
ソウルはあの厳格な聖女様があんな柔らかい表情をするのか、と興味をそそられる。
「.......」
「痛い痛い」
すると、シーナが腕をつねってきた。
「意外だね。聖女様ってもっと怖い人だと思ってたけど、あんな表情もするんだ」
レイも驚いたように告げる。
「それでは、これからその配属を発表する!」
ジャンヌは先程の大男に指示を出すと男は大きな羊皮紙を壁に張り出し始めた。恐らくそこに何処の騎士団へ配属されるのかが書いてあるのだろう。
「ぼくらはどこのチームに配属されるんだろうね」
レイは楽しそうだ。
「そうだなぁ.......めんどくさくない所だといいけど」
ただでさえ魔法の使えない男に【ジャガーノート】、謎のイケメンプリンスで悪目立ちしている上にドランクール遺跡で大暴れ騒ぎと来たものだ。これ以上厄介事に巻き込まれては敵わない。
そして、紙が張り出される。遠くでよく見えないなぁと背伸びをしようとした。
その瞬間
バッ!!
一斉に周りの見習い騎士達の目がソウル達に向けられた。
「.......へ?」
状況が理解できないソウルは困惑する。こ、今度はなんだ?
「ソウル、また君何かやったのかい?」
「いや、訳ねぇだろ!?」
レイがケラケラと笑いながら冗談を言う。すると、シーナが何かに気づいたように顔面が蒼白になっていく。
「.......ねぇ、私たちの配属先」
シーナの声は震えており、指さす手は震えている。
「ど、どこなんだ?」
「聖剣騎士団.......聖女様の騎士団だ」
ソウルは意識を持っていかれそうになった。




