アリアの過去15【見つけた】
アザトースは苛立ちをぶつけるように村々と、自身に刃向かってきた哀れな雑魚どもを破壊しながら村を歩き回っていた。
見つからない。
これだけ探しても、どこにもいないのだ。
気配は感じる。けれど、それも曖昧で辿ることができなかった。
おおよその場所さえ見つけられれば、きっとすぐだと言うのに……。せめてこの視力だけではなく全ての五感があればあるいは……。
「ーーーーーーーーーー!」
いや……そうか。その手があったか。
飛び散る人魚達の死骸を踏みつけるアザトースは立ち止まると、自身の右目に手を当てる。
この目を奪ったガキ。
あいつはあの召喚術士と一緒にいた。もしかすると、今も一緒に隠れているのではないか?
なら、この目を1度返そう。そして、この目が向かう先……そこに奴がいるかもしれない。
アザトースはアンガスから奪い取った目に手を当てる。するとそこにあった筈の右目が消える。
そして消えた右目はマナとなり、そのままゆらりととある大きな建物の中へと消えてゆく。
アザトースは残された左目で蝶を追いかける少女の如くそれを追いかける。
あぁ、間違いない。感じる。
建物が近づくにつれ、鮮明になっていく気配。
そこに隠れているな?見つけた……見つけたぞ……!
バリバリバリッ!!
そのままアザトースはココナツ村の講堂を叩き潰しながら中へと乗り込んだ。