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クトゥグア討伐戦28【オリビア、駆ける】

「敵の動きを封じる魔導機!」


 オリビアはそう繰り返しながら塔の中を駆けていた。


 昔、エヴァから聞いた事はある。この塔に備え付けられた対魔人用の魔導機の存在。


 そのルーツが同じである以上、魔人に有効なものは召喚獣にも効くはずだ。


 けれど、そうほいほいと都合のいい魔導機なんてあるはずがない。それに有効なものであればあるほどクトゥグア討伐のために持ち出されているのだから、塔の中には目ぼしいものが見当たらなかった。


 でも、何とかしないといけない。だって、あの人は託してくれた。こんな、私のことを信じて今も闘ってくれている。


 もう、自分に嘘はつかない。彼を助けたいのは使命でも何でもない!


 ただ私が助けたいから。彼の想いに応えたいから走ってるんだ!


 だから……!


「っ、あれは……」


 そこにあったのは投石機だった。


 マナを受けて遠くへと岩を飛ばす原始的な魔導機。これはクトゥグア討伐戦の前線には持っていかなかったのか。


 確かに、あの強力な魔人に投石なんて柔な攻撃が通じる訳がないことは凡人のオリビアでも分かる。


「……そうか、これなら」


 けれど、私の力とこれがあれば、アスモデウスの動きを止めることができるかもしれない。


「【地霊】に【ルーン】のマナ!【木霊(こだま)】!」


 オリビアは自身のポケットから種を振りまくとそれらにマナを送る。すると、種は一瞬のうちに発芽し人の形へと姿を変える。


 オリビアのルーンの力。植物に自分の意志を反映し操作する力。


 それらを次々にとある弾を装填して塔の窓やアスモデウスに空けられた穴へと配置していく。


 準備はできた。後は……!


「これを……あいつにぶつけるだけ」


 仕込みは済んだ。チャンスは一度きり。多分外せばもう次はないだろう。


 確実に当てなければならない。気づかれてしまえば一払いにオリビアの仕掛けた策は吹き飛ばされて終わり。


「お願いします……ソウルさん」


 空を舞うソウルに祈りを込めて、オリビアはその戦いを見守る。


 どうか、あいつにこれをぶつける隙を作ってください。

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