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クトゥグア討伐戦18【オリビアの回想1】

 エヴァが最高司祭になって、彼女は見違えるように変わった。


 最高司祭としての使命を果たすために、無我夢中で走り出したんだ。


 そして、その道中で彼女を支えるたくさんの人を亡くしていった。そうして心を痛め、それでもなお歩み続ける彼女を見て、心が痛かった。


 何か私にできることはないかと言う想いを抱えるようになっていったんだ。


 そんな折だった。エヴァが私にあの話をしたのは。


ーーーーーーー


「エヴァ……大丈夫?」


「……うん、ありがとうオリビア」


 日に日にやつれていくエヴァにオリビアはそんな言葉をかける。


「ねぇ、やっぱりあまり無理しない方が……」


「ううん。やらなきゃいけないの。たくさんの人が、私に想いを託して死んで行った。それを受け取った私には、彼らの想いに応える義務があるから……」


「でも……」


 エヴァの1番の理解者であるオリビアだから分かってしまう。彼女の決意が。彼女の背負う使命の重みが。


 だからこそ、それ以上何も言うことができなかった。


「……ねぇ、オリビア。1つあなたに……いや、あなたにしか頼めないことがあるの」


「何?」


 すると、神妙な顔つきでエヴァが1つの首飾りを手渡してきた。



「これを、持っていて欲しい。そして、私の代弁者としてこの国を導いて欲しいの」



「なっ、何言ってるの!?」


 突然のエヴァの言葉にオリビアは唖然とする。


「私は……ディアナ教の中で最も重要な使命を果たしにイーリスト国に渡らないといけない。この首飾りがあれば私の声を発信することができる。だから……」


「だっ、ダメよ!今あなたが国を離れたら……」


 マシューを筆頭に、エヴァのことを良く思わない者は多い。そんな者を野放しにして国を空ければシンセレス国は……エヴァはどうなってしまうか検討もつかない。


「でも、これだけは誰にも任せられない。私じゃないと……」


 しかし、そう言ってエヴァは俯く。


 きっと、エヴァをそこまで悩ませる程大切なことがあるのだろう。


 でもかと言ってエヴァを「いってらっしゃい」と送り出すことなんてできない。最悪単身渡ったイーリスト国で事故に見せかけて殺されてしまうかも……などと言う最悪の事態もオリビアの頭をよぎった。


「……だったら、私なら?」


「え?」


「私にとって、エヴァはこの世の誰よりも信用できる親友よ!あなたにとってはどう?」


 ズイと顔を近づけながらオリビアはエヴァに問い詰める。


「も、もちろん……私にとってもあなたはこの上なく信用できる存在よ」


「だったら、私がイーリスト国に行ってあなたの使命を果たす!それでどう!?」


 オリビアの言葉にエヴァは一瞬呆けたような顔をする。


「で…でも、イーリスト国はあなたにとって嫌な国でしょ?そんなところに行かせるなんて……」


 かつて、オリビアはイーリスト国の騎士団に故郷を焼かれている。しかし、それよりも大切な事が今のオリビアにはある。


「私にとって、昔のトラウマよりも今のあなたの方が大切だもの!それぐらいなんてことないわ!!」


 オリビアはギュッとエヴァを抱きしめながら告げる。


 腕の中で、彼女の肩は震えていた。


「だから、協力させて?せめて、私だけでもあなたの抱える重責を背負わせてよ。一緒にあの街に帰るために……ね?」


「オリ…ビア……!」


 やがて、エヴァは堪えていた涙をボロボロと溢しながらオリビアを強く抱きしめ返す。


「ごめんね……ありがとう、オリビア」


「ううん。気にしないで。そのかわり、イーリストに行ってもこの首飾りでたくさんお話ししようね」


 こうして、私は覇王を倒すために1番重要だという【虚無の者】を探すために技術提供者としてイーリスト国に渡った。

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