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クトゥグア討伐戦14【アラン対クトゥグア2】

 そうだ、私はエヴァ様を守る。あの方が積み重ねてきた努力を、ずっとそばで見てきた!


 それを無駄になどさせはしない!弱さを見せず、直向きに歩き続けるあの方を……私は……!



「守ると、決めた!それを果たせるというのなら、私の命など惜しくもない!」



「へぇ……」


 アランの一撃を拳で受け止めながらクトゥグアは感心していた。


 この覚悟、本物だ。


 珍しいものだ……これほど純粋な想いで生きる奴が、まだこの世にいたなんて。


 同時に少し虚しさも感じる。



 何せ、このアランはクトゥグアには決して勝てない。つまり、こいつはここで死ぬのだから。



「さぁ、いくらでも撃ってこい!全てこの私がねじ伏せてやるさ!!」


「上等だよ、だったら死に花咲かせてやる」


 咆哮しつつもアランは、攻め込んでくることはない。やはり、時間稼ぎだ。


 それに乗ってやるのも楽しいが、そろそろ遊びの時間も終わりだ。


「【灼熱発火】」


 炎を纏うクトゥグアが再びアランに飛びかかる。


「来い!【瞬撃】のマナ!【カシオペア】!!」


 すると左手のベガから5つの光玉が放たれ、クトゥグアの周囲に展開。


 【カシオペア】は移動魔法。術者を展開した光玉に向けて超高速移動を可能にさせる。


 まるで避雷針に落ちる稲妻のように。


 ビュビュビュビュビュビュッ!


 迫るクトゥグアから逃れるようにアランはそれらの光玉に次から次へと移動しクトゥグアを撹乱。


 クトゥグアの拳は先程までアランが立っていた地面に吸い込まれ、巨大なクレーターを作り出す。


 この魔法ならクトゥグアの攻撃を躱すのも容易い。仮に避けられない時には右のアルタイルで防御魔法を放てばいい。


 そう、思っていた。



 ククンッ



「な……?」


 突如、アランの視界がグラリと揺れる。




「甘いぜ……まだあたしは奥の手を見せちゃいねぇ」




「ぐぁぁっ!?」


 ズドン!


 何が……起こった……!?


 確かに、クトゥグアの拳は躱した。瞬速で移動しクトゥグアの視界から外れていた。


 だと言うのに、アランは訳もわからないまま硬い地面に叩きつけられていたのだ。


「おら、どうした?かかってこいよ」


 地で嗚咽を漏らすアランにクトゥグアが歩み寄ってくる。


 まずい……!追撃される……!



「おおぉ!【神撃】のマナ!【ヴィラ・ラクティア】!!」



 アランはクトゥグアを押し返すために再び光の密集した礫を放つ。



 クククククンッ!



「何!?」


 しかし、それらはクトゥグアを押し返すどころかまるでクトゥグアの身体を避けるように彼女の後ろに向かって流れ去っていく。


「もう、それは通用しねぇぞ!」


 ドスッ!


「ゴッ……はぁ!?」


 転がるアランの腹目掛けてクトゥグアは蹴りを放つ。鈍い衝撃と、まるで熱された鉄を押し付けられたような焼ける痛み。


「まだまだ寝かさねぇぞ!【連打】!!」


「ぐ…おおぉ!?」


 ダメだ、魔法は間に合わん!


 胃の内容物を吐き出しながらもアランは迫るクトゥグアの拳を2本の剣で弾き返していく。


 しかし、それらはスルリとクトゥグアの拳をすり抜けアランの身体にいくつもの硬い拳が叩き込まれた。



「ぐ……がぁぁぁぁあ!?!?」



 何だ……何だこいつのこの技は!?まるで私の剣が何もない空間に流れ去っていくようなこの感覚は何だ!?


 先程までの燃え上がる業火のような戦いを感じさせないような繊細な技は……!?


「おら、眠れ。【灼熱発火】」


 クトゥグアの拳に炎が灯る。


 そして、クトゥグアはいくつもの拳を受け朦朧とするアランに向けてそれを叩き込んだ。


「【剛拳】!」


 ズシン……!



 メキメキ……



 身体中の骨が砕けると同時に焼ける内臓。



 ズドドドドドドドドッ!!



 その痛みを感知することも許さないほどの速度で撃ち込まれる爆発にも似た拳の嵐。



「ぐ…がぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?!?!?」



 それを受けたアランはそのまま家屋をいくつも貫き、吹き飛ばされていった。

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