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クトゥグア討伐戦7【黒騎士の目的】

 ディアナの塔のすぐ近く。


「あ……ぐぅ」


 パメラの小さな身体は黒騎士に胸ぐらを掴まれて宙吊りになっていた。


 彼女の身はズタズタに引き裂かれ、全身から血がボタボタと流れては冷たい地面に吸い込まれていく。


「全く……言っただろう。私の聞きたいことに答えてくれるのなら、見逃してやると。では、もう一度だけ聞くぞ?」


 脱力するパメラに、黒騎士は質問を投げかける。




「お前達の仲間……オリビアという妖精の娘はどこだ?」




「……だ…から、さっきも言ったの。教えないって」



「うーむ……それは少々困ったな」


 黒騎士は首を傾げて考え込むような仕草を見せる。


「何で……何で、オリビアちゃんのことを……?」


 何故こいつはオリビアのことを聞いてきたのだろう?この男の狙いは何だ?


「ん?まぁ一言で言えば、私はオリビアを殺さなければならないのさ」


 もうこれ以上聞いても無駄と判断したのだろう。黒騎士はパメラを地面に放り出す。


「ぐっ……。オリビアちゃんは……普通の女の子な…の。何のためにそんなこと…を?」


 パメラには黒騎士の意図が全く理解できなかった。


 何故、この黒騎士はオリビアを殺そうとするのだろう。確かに妖精の【地霊】の力を持つ彼女は回復魔法という珍しい力を持っている。けれど、その力を持つのはオリビアだけじゃない。


 何故、こんな戦乱のど真ん中にまでやってきてオリビアに手をかけようと言うのか。


「まぁ……色々と理由はあるんだが、基本的には私の目的のためさ」


「目的……?」


「あぁ。ま、彼女の場所を教えるというんなら教えてやってもいいんだがね」


 そう言いながら、黒騎士はパメラの落としたディアナの塔の地図を拾い上げる。



「ふむ……オリビアには回復の力がある。という事は医務室の距離と、魔導機部隊の配置を考えれば……ここだな」



「……っ!?」


 黒騎士が指さすのは紛れもなく、オリビアが配置されているまさにその場所だった。


 何で……何で分かるの!?


「お。君の反応的にもますますここだな。よし、では行くとするか」


「ま…て……!行かせ……ないの!!」


 パメラ最後の力を振り絞って空を舞う友達に指示を飛ばす。


 ダメ……狙いは分からないけどこいつをこのままにしていられない!お願い……どうか、どうかこいつを止めて……!!



「ピィィィィィィィィ!!!」



 パメラの願いを聞き届け、一体の白い魔獣が空から舞い降りる。



「ほぉ……」


 黒騎士はその白く神秘的な白い翼を広げる魔獣を見て感嘆の声を漏らした。



「確か……初代【獣の召喚術士】の忘れ形見か。イグとは違って随分とまぁ美しいことだ」



 警戒するどころかそれを楽しむように黒騎士は剣を抜く。


「どれ……もう少しだけ時間はありそうだ。遊んでやるとするか」


 そう言って黒騎士はその腰の剣を抜く。


 まずいの。早く、このことをエヴァ様に知らせないと……。


 目的は分からないけれど、この男を放置するのは危険だ。パメラの動物並みに鋭い直感がそう告げていた。


 リュカ君が時間を稼いでくれているうちに……早く……!!


 パメラはズタボロの身体に鞭打って再びマコの元へと交信を開始した。

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