エヴァの過去7【飾らない姿】
一通り話し終えたエヴァは過去を懐かしむように笑う。
「何もなかった私は、こうしてオアシスに来て魔人と戦う為の準備をしてきました。大切な人を……大切なあの町を守りたくて」
「……本当にオリビアとは仲が良かったんだな」
優しくて、少しお節介で心配性で……。エヴァの話に出てくるオリビアもソウル達が知る彼女そのものだった。
きっと、ソウル達が一緒に過ごしてきた彼女は飾らない彼女そのものだったんだろう。
「はい。もう私の半身といっても差し支えありません」
そんな風に笑うエヴァの顔はこれまで見てきた中で1番自然な笑みのように見えた。
「オリビアが来てくれて、私は孤独じゃなくなりました。ペテル様の元でまた精進しようと……決意を新たに頑張っていました。ですが、それも長くは続かなかったんです」
ーーーーーーー
オリビアがオアシスに来て数ヶ月が経った頃。
いつものように日々訓練を続けるエヴァに急報が入った。
「ペテル様が倒れた!?」
「えぇ。元々身体が悪かったのです!しかしここに来て急に容体が悪化し初めて……」
エヴァの世話係をしてくれていたメイドが後に続きながら説明をしてくれる。
そんな……私の前じゃ、そんな素振り見せたこともなかったのに。
焦燥に駆られつつもエヴァはペテルの病室に飛び込む。そこには何人ものディアナ教関係者と医者達が暗い顔で床に伏せるペテルを見下ろしていた。
「ペテル様!」
「え…エヴァか……」
真っ青になった顔でペテルはエヴァの顔を見つめる。
そんな……思っていたよりも彼の病状は重いように感じた。
「……皆のもの、少し外してくれ。エヴァと2人で話がしたい」
「し、しかし……」
医者がペテルに物申そうとするも、ペテルは首を横に振る。
やがて皆諦めたように病室を出ていき、部屋にはエヴァとペテル2人だけになった。