けじめ
「んー、よしよし。それじゃあ、【ディアナの塔】までよろしくお願いなの」
そう言ってパメラはポンポンと巨大な白い鳥にまたがる。
白い巨鳥は翼を広げて飛び上がると、そのままエヴァ達の乗る馬車を鷲掴みにして持ち上げた。
さぁ、後はこの馬車ごとみんなをシンセレスへと連れていくだけだ。
「でも、いいのオリビアちゃん?中の人…オリビアちゃんのお友達なんでしょ?」
パメラは先に鳥に跨っていた妖精の血を引く少女に問いかける。
「……いいの。ありがとうパメラ」
「どうしてぇ?」
心底不思議そうに首を傾げるパメラにオリビアは顔を俯けた。
「……合わせる顔がないの。私は、これまでずっとソウルさんを……そして、シーナ達を騙してきたから、側にいる資格なんてない」
「でもぉ……話せば分かるかもしれないよ〜?」
「ううん。これは私なりのケジメだから……。もう会わない。例えどんな事情があったって、ソウルさんを騙してきた事実は消えないから……だから、もう私はみんなの前に姿を現さない」
血が滲むほど自身の手を握りしめたオリビアは、絞るように告げた。
「……オリビアちゃんがそーいうなら、パメラは何も言わないよ。こんな私の背中で良ければいくらでも貸すからねぇ?」
「……ありがとう、パメラ」
そう言ってオリビアはパメラの背中にギュッと抱きつき、そのまま声にならない涙を流した。