プロローグ
「あぁ……ようやく帰りついたぞ……」
「は、はいぃ……厳しい任務でしたね……ほら、ロッソ。いい加減自分の足で歩いてくださいよ」
「……僕は意識不明の重体なんだ。このまま優しく中央病院まで運んでくれ」
激しい任務を終えた47班の3人はフラフラとイーリスト城下町を歩いていた。
ギドとモニカはボロボロになったロッソを担架に乗せて病院へと運んでいる最中なのだが、もう疲れも限界だ。
「よし、捨てるぞモニカ」
「はい」
ポイっ
「どふぅっ!?」
そしてギドの号令と共に担架に乗せられたロッソはひっくり返されて道端に放り投げられた。
「ひっひひひどいな!?一応これでも僕は怪我人なんだぞ!?」
「私達だって疲労困憊なんです!ここまで運んできてあげただけでもありがたく思ってください!!」
道を転がるロッソとモニカはいつものようにギャーギャーと口喧嘩を始める。
ギドはやれやれ、相変わらずだなぁとため息をつきながらその光景を見た。
カサッ……
「……ん?」
すると、ロッソはふと道端に投げ捨てられた新聞が目についた。
「ぎ、ギド!モニカ!!これを見てくれ!!」
文字を追いかけていたロッソはたまらず声を上げる。
「なんですか?もう自分で歩けるはずです。もう私達は運びませんよ?」
「ちち違う!そうじゃない!!ソウルが……ソウル達が!!」
「あぁん?なんだよ薮から棒に……」
3人は仲良く道端に捨てられた新聞に目をやり、そして……。
「……なっ」
「「「なんじゃこりゃぁぁぁあ!?!?」」」
街中に3人の叫び声が響き渡った。
ーーーーーーー
ギド達は任務の疲れも忘れて【再起の街】へと駆け込んだ。
いつもの作業小屋に飛び込むと、そこには暗い顔をしたアルと実家から帰ったエドワードとマコ、そしてシドの姿がある。
「やぁ、おかえりギド……。その様子だと、もう知っちゃったみたいだね。まぁ、あれだけ大々的に号外されればそうなるか」
「あぁ……!知ったよ!何があった!?何だってこんなことになってんだよ!?」
ギドは新聞の切れ端を床に叩きつけながら怒鳴り散らす。
『聖女に取り入った禁忌の魔法使いシン・ソウル。あの聖国家シンセレスへ連行!?』
「……」
その記事を見たアルとマコはただ顔を俯けることしかできない。
「まさか、バレたんですか!?ソウルさんの力が!?」
「いや、バレただけならこうなってねぇ!何でお隣さんのシンセレス国に連れてかれてんだあのバカは!?」
矢継ぎ早に疑問が浮かぶ3人は次から次へと質問をぶつけた。
「そうだな……何から話せばいいのか。僕もマコも直接現場にいたわけじゃ無い。詳しいことはアルに聞いてほしい」
「……はい」
耳がしょんぼりと垂れ下がったアルはあの日起こったことをぽつりぽつりと話し始めた。