死神討伐戦24【決着】
ボシュウウウッ!!
イザナギアの身体を次々と木の枝が貫く。
へし折れたイザナギアの刀からは強力な風撃が弾けるように放たれ、ケリュネイアの大樹に風穴を空ける。
大樹を貫いた暴風がシェリーの身体に吹き付けるが所詮それは決定打とはならない。
空いた風穴から砕けちるイザナギアを眺めながらシェリーは告げた。
「……さらばだ、シン・ソウル。私の勝ちだ」
そして、イザナギアはその身を引き裂かれ、空気へと霧散していく。
終わった。父の力とともに眠りにつけ。
そう思いながらシェリーは最後の最後まで魔法を放ち切った。
『どんな時でも諦めずに立ち上がる……それは俺が持っていなかった強さだ。世界を変えるような強さを持った奴は、きっとそういう奴なんだと思うのさ』
シェリーが勝利を確信したその時。脳裏にふと、父の言葉が蘇った。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!」
「……っ!?」
イザナギアが最後に空けた風穴から、1つの黒い影が迫る。
最後に残された【浮遊】の力を使い、一気にシェリーの懐へと飛び込んでくるその男は確実にシェリーを標的に定めていた。
バカな!?イザナギアは八つ裂きにした。
つまり、今ソウルの身体には尋常ではない程のフィードバックが走っているはず。何故その状態で動けるんだ!?
それに、召喚獣同士の技の撃ち合いでも完全に負けたというのにこの男はそれでも負けを認めなかったというのか!?
何故……何故召喚獣を破られてなお、立ち向かおうなどという気がするんだ!?そんなこと、召喚獣が破られた時点で立ち向かう術など無いと諦めが……。
『お前は本当に色々凄い力を持ってんのに、そのすぐ諦めちまう所はもったいねぇなぁ』
「〜〜〜〜〜〜っ!」
マナを放ち切り、シェリーはもう魔法を展開できない。
【神切り】もソウルから距離をとったあの時に手放してしまっている。
「これで……これで終わりだ!シェリーーーーー!!!」
そう咆哮するソウルは黒剣を構え、大地を踏む。
【浮遊】の力は消え、身体には内側から抉られるような激痛が走り、気を抜けば意識が飛びそうだ。
でも、ここで止まってなどいられない。最後の最後まで、俺は諦めたりなんかしない!!
きっと、ほぼ全てシェリーの方が上。実力も、マナも、才能も。ソウルでは敵う相手じゃない。
そんなソウルが唯一シェリーを上回っていたこと。
そのたった1つの武器が今、最強の相手に放たれる反撃の一矢となる。
ソウルは大地を強く蹴り飛ばす。
これまで、ずっと磨いてきた憧れを乗せた剣技。
シェリーは、できるわけがないと諦めたその神業。
まだ、道半ばかもしれない。それでもいつか完成させることを目指してきたその技が、今ここで炸裂した。
「【劣化・風迅】!!」
ザンッ!!
そして、ついにソウルの諦めない執念が、圧倒的強者……シェリーを超えた。