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死神討伐戦23【何にもならない戦い】

 ギギギギ……!!



「「ぐ…ぅぅぅう!!」」



 互いの召喚獣に全てのマナを注ぎ込む。


 正真正銘、最後の一撃。


 この攻撃を超えたものが勝利を得るだろうとシェリーは思った。



 負けられない。必ず勝ってみせる。



 そして……勝利して……。



「……何だと、言うのだろう」



 ポツリと、シェリーはこぼした。


 全身全霊を込めた攻撃。ソウルを殺してレイオスを討つ。復讐を果たすための戦い。


 これまで感じてきた以上に、シェリーの心が空虚に感じられた。


 何て……何て虚しいんだろう。


 こんなことをしても、私には結局何も残らない。いや、もう全てを失っている。


 その空虚さを埋めるために、私は復讐に全てを捧げるしかなかったんだ。


 最後に残された父との繋がりだって、自分の手で斬り捨てた。


 何て無様なんだろう。どうして私はこんな選択を取ることしかできなかったんだろう。


「……シン・ソウル」


 魔法を撃ち続けながらシェリーは告げる。



「きっと、君は私とは違うんだろう。復讐でこの手を血に染めるしかできなかった私とは違って、君の手はたくさんの救いを求める者に手を差し伸べることができたんだろう」



「……」


 不思議なことに、激しい魔法のぶつかり合いの中でもソウルの耳にシェリーの言葉がはっきりと届く。



「君の方が、生きるべきだと分かっている。しかし、私だってもう戻れない。これは私の意地だ」



 ギュッと手を強く握り締めながらシェリーは言った。



「私の手は、もう何も掴めない。だからせめて私はこの意地を通しきる。だから……」



 ミシィッ……



「……っ!?」


 イザナギアの刀が鈍い音を上げる。



「だから、例え何にもならなくても……私は君に勝ちたいんだ。それがたとえ無駄だとしても……何にもならなかったとしても、だから」



 バキィィッ!!




「君をここで殺そう。さらばだ、シン・ソウル」




 イザナギアの刀がへし折れ、その身をケリュネイアの大樹が貫く。



 決着の時だった。

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