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死神討伐戦12【勝利の一撃】

「【神剣】のマナ!【カリブルヌス】!」



 ジャンヌのエクスカリバーが輝きを放ち、その剣撃の速度が上がる。



「ぐっ」



 速い。


 エクスカリバーの速度を上げる魔法か……


 大剣であるリュカイオンではジャンヌの怒涛の攻撃を凌ぐのに手数が足りなくなってくる。



「【光輝連斬(こうきれんざん)】!」



 エクスカリバーの反動を利用しながら踊るように放つ斬撃。ジャンヌの剣技だ。


 シェリーはもう剣を振ることが間に合わず、リュカイオンを盾のようにしながら攻撃をいなしていく。



「どうした!?まだまだ行くぞ!!」



 そんなジャンヌに客席から歓声が上がる。



「いいぞ!!行けぇ!ジャンヌ様ぁ!!」


 死神を攻め立てるジャンヌの姿を見て観客はワッと湧き上がる。


 街を不穏に陥れたその元凶を絶ってくれと、街の期待が彼女にかかっていた。



「【椿切(つばきり)】!」



 だが、死神もただではやられない。



 民衆からのアウェイな雰囲気に呑まれることもなく鋭い剣撃を放つ。その一撃は鋭いのに重く、ジャンヌの攻撃を無理やり止めてくる。



「くっ」



 だが、ここで聖女として負けられない。そして、ジェイガンの仇を取るために、何より彼を……ソウルを守るために。



「負けられないんだ!死神っ!!!」



 ゴッ!!



「【突破(とっぱ)】!」



 ジャンヌは弾かれた勢いを利用して回転。そのまま全身を突き出すようにエクスカリバーで突きを放つ。


 モーションの少ない鋭い突き。


 その剣先が大剣のガードをすり抜けて的確に死神を狙う。



「……っ!?」



 剣を振ることしかしてこなかったジャンヌがここに来てまさかの突き。


 シェリーの反応も遅れる。


 当然、それを狙ったジャンヌの駆け引き。


 この一撃を通すための立ち回り。この必殺の一撃のため。



 ここで、死神を屠るための最後の一撃を生むための!!



「これで終わりだ死神!」



 【神剣】のマナの力が乗せられたその勝利の一撃は確実に死神の首を狙う。



 誰もがジャンヌの勝利を確信した、まさにその時だった。



「まだだ……」



 死神から放たれる冷たい声。湧き上がる民衆を凍りつかせる殺意に満ちた声。



「この程度で、私は終わらないぞ。聖女ジャンヌ」



 ギィィン!!



「なっ!?」



 死神のリュカイオンが突如としてありえない速度でジャンヌのエクスカリバーを撃墜した。



「バカな!?」



 何故、この大剣をその速度で振れる!?両手剣を持つジャンヌだからこそ分かる。いくら鍛え上げられた力を持っていたとしても、ここまでの速度で振ることなんて物理的にできるはずがない。


 だが、目の前の死神はありえないことをやってのけた。考えられうる可能性は、ジャンヌの理の届かない力……!



「それも……召喚術によるものか……っ」



「その通りだ。この大剣の元になった召喚獣の【保有能力】。もっとも、これは運が良かっただけの話だがな」



 剣を弾かれたジャンヌは完全に隙だらけ。


 再びありえない速度で返しの刃がジャンヌに襲いかかる。



「ジャンヌ様ぁぁぁあっ!!!」



 シーナの悲鳴にも似た声が聞こえる。



 ザシュッ



 だが、何故かそれはとても遠くのどこかから聞こえてくるような感覚を覚えた。



「さらばだ、聖女ジャンヌ。お前の屍をも超えて私は私の全てを終わらせよう」

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