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アイリスとの戦い

 アイリスは奥から銀髪に真紅の瞳を持つ女がこちらに向けて突撃してくるのを見つける。


「みぃつけた」


 そしてアイリスもシーナに向けて駆け出し、互いに剣を振った。


 ガキィィイン!!


 お互いの武器で鍔迫り合いになりながらアイリスは不気味な笑顔でシーナに声かけた。


「お久しぶりですね。姉さん?」

 

「.......」


 シーナは何も言葉が見つからない。いや、何もかける言葉はないと思った。


「.......ふんっ!」


 ガキィッ


「あはっ」


 シーナは力ずくでアイリスを吹き飛ばすが、アイリスは器用に空中で身を翻して着地する。


「.......あなたは私が相手する!」


 シーナはそう叫ぶとアイリスに距離をつめて蹴りを放つ。


「逃がしませんよ?」


 対するアイリスは後ろに飛んで蹴りを回避すると同時に剣で床に円を描く。そして次の瞬間床から新たなガイコツが湧いて出てきた。


「.......いやな魔法」


「この遺跡はですね、かつて魔法大戦である魔獣を封じるための戦いの場となった場所なんですよ」


 アイリスは狂気的な笑みのまま告げる。


「そして、私の死霊術は死者を操る事ができる。つまり、大量の人間が死んだこの場所は私の力を120%引き出せるフィールドという訳です!」


 アイリスはそう叫ぶとシーナに飛びかかる。


「.......それでも!【焔】!」


 シーナの熱線がアイリスを捉える。


 例え相手のフィールドだったとしても、聖剣の力は強力で並半かな魔法では防ぐことはできないはずだ。


「【骸の(スケルトンウォール)】」


 すると、アイリスの右手から光の玉が飛び出る。


 それが地面に吸い込まれると同時に大量のガイコツの塊が壁となって熱線をはじき飛ばした。


「!?」


 防がれた。【焔】の威力は絶大で、これまで避けられたことはあるが真っ向から防がれたことは一度もなかったというのに。


「聖剣.......【朧村正】ですね?」


 アイリスは役目を終えて砕け散っていく【骸の壁】の向こうから声をかけてくる。


「なんで防がれたんだって顔してますね?」


「.......!」


 シーナの心を見透かした様なセリフにシーナは苛立ちを覚える。


「教えてあげますよ。【魔聖剣】のマナ.......死の淵を超えて死者の戦いし魂を呼び顕現させなさい」


「.......!?聖剣!?」


「闇の聖剣【ダーインスレイヴ】!」


 すると、アイリスの右手へ闇のマナが収束。そしてそれは左手の剣のように鉄を岩で砕いたような見た目の剣へと変化した。


「ええ、私にも目覚めたんですよ、聖剣。姉さんを殺せって、そういう事なんだって理解しました」


 アイリスは晴れ晴れとした表情でそう告げる。


「.......っ」


 その醜悪な姿に嫌悪感を抱きながらもシーナは黙って刀を構える。


 アイリスは【ダーインスレイヴ】と元から手にしていた黒剣を握り、二刀流になった。


 きっとこれが本来のアイリスの戦闘スタイルなのだろう。あえて聖剣の存在を隠していたのはこちらの動揺を誘うためか。


「.......ふぅ」


 シーナは深く息をする。こちらは2発の【焔】を撃ってマナをかなり消耗していた。


 だがアイリスもこれだけのガイコツ達を召喚している。それなりに消耗しているはずだ。


 そうなると、この戦闘のカギになるのはお互いの剣技。


「こないのならこちらから行きますよ!」


 すると、アイリスがこちらに突進してきた。シーナも負けじと応戦する。互いに剣を撃ち合い、火花を散らした。


 ガガッ、ギィン!ガギィン!!


「あはははは!!楽しいですねぇ!姉さん!!」


 アイリスは超速で双剣を次々に打ち込んでくるが、シーナはそれを最小限の動きで弾いていく。


 左からの剣撃を弾く。アイリスはその反動を利用して右から追撃。こちらはかがんでやり過ごす。


 シーナはかがんだ体勢から体を持ち上げると同時に下から刀を切り上げる。


 アイリスはバク転で回避。着地と同時に踏み込み、十字切りを放つ。シーナは刀を180度回転させて受け止めた。


 ガキィン!


 あまりの衝撃に空気が震える。そして再び鍔迫り合い。先ほど同様に吹き飛ばそうとシーナは思い切り力を込めて刀を振った。


 ガキィィン!!


「.......っ!?」


 だが、吹き飛ばされたのはシーナの方だった。予想外の事態に困惑したシーナは地を転がる。


「ここに眠る魂は全て私の味方ですよ、姉さん?」


 【ダーインスレイヴ】と【秘剣】のマナ、【魂の吸収(ソウル・アブゾーバー)】。周りの魂を吸収し自身の身体能力を向上させる魔法だった。ここまで死の色が濃い場所であれば【ジャガーノート】をも凌駕する程の力なる。


「この日のために、姉さんを殺すために全ての準備は整いました。あとは姉さん、あなたを殺すだけです!」


 そう叫びながらアイリスはシーナに追い打ちをかけに飛び込んできた。


「.......くっ」


 シーナはとっさに体を起こす。しかし身体が不安定な状態で攻撃を受けることになり衝撃を殺しきれない。そしてそれが決定的な隙となった。


「そこですね!?」


 アイリスはダーインスレイヴをシーナの肩に突き立てた。


「あぅっ」


 シーナの左肩から鮮血が飛ぶ。シーナはたまらず刀を振るがアイリスはすぐに飛び退いた。


「あぁ、これが姉さんの血の味ですか」


 距離をとったアイリスはダーインスレイヴについたシーナの血を舐めてうっとりとした表情を浮かべる。


「この.......」


 幸い肩の傷は致命的な傷ではないが刀を握る腕に力が入らない。


「ふふふ...勝負ありましたね」


「.......」


 正直、かなり不利だ。利き手が無事だったことは唯一の救いか。


「さぁ、決着をつけましょうか」


 アイリスはぬるりとした動きで迫ってくる。


 まずいという言葉がシーナの頭をよぎった、その時。



「シーナ、少し持ち堪えろ!すぐに向かうから.......ってうおおお!?」


「ばか!突っ込みすぎだよ!」


「お、お前ら!?頼むから真面目にやってくれ!?」



 ガイコツ達の群れの中から声が聞こえてきた。


「.......何です?あのバカは」


 アイリスはそちらの方を向きながら呆れた声をあげる。


「.......あのバカ」


 シーナもため息をつく。魔法の使えないあなたに心配される筋合いはない、とそう思った。


 だが、不思議と嫌な気持ちではなかった。むしろ気持ちが昂るのを感じる。


「.......あのバカに心配されるほど、私はまだ終わってない...か」


 そう言ってアイリスに向き直る。


「.......アイリス、やっぱり私は負けられない」


 そしてシーナはマナを溜める。使うマナは【火聖剣】とアイリスと同じ【秘剣】のデバイス・マナ。


「【草薙剣(くさなぎのつるぎ)】」


 シーナより放たれたマナが朧村正を包み込む。刀身は真っ赤に染まりその周りを紅蓮の劫火がぐるぐると回る。


 その姿はアイリスの目には刀と言うよりもはや金棒のようにも見えた。


「あぁぁぁぁぁあ!!!」


 そしてシーナは朧村正を横に振る。すると刀身に宿る劫火が放出され、巨大な炎の波のように大広間をなぎ払い、辺りを火の海へと変えた。


「血迷いましたか!?そんな攻撃をすれば姉さんの仲間も消し飛びますよ!?」


 アイリスは大きく飛翔し、柱にダーインスレイヴを突き刺して回避する。見下ろすアイリスの足元は真っ赤だった。


「さ、さすが親殺し.......仲間にも容赦せずに攻撃してきましたか」


 アイリスは動揺を隠しながらニヤリとする。


「.......みんな、今のうちに逃げて」


 すると、シーナが口を開いた。


「はぁ!?」


 アイリスは周りを見渡す。すると、炎の中で崩れて灰になっていくガイコツたちと何事もないように出口に向かって駆ける騎士たちの姿があった。


「な、何!?」


 秘剣のデバイスで発現する【草薙剣】。その力は「自身が敵とみなしたものにのみ攻撃する」という魔法だった。


 守るべきものは守り、倒すべき敵を倒す。これまで守るものがなかったシーナが使うことはなかった魔法だったが初めて役に立った。


「このっ」


 アイリスは再びガイコツを召喚するために【放出】のデバイス、【死の祭り(デスパレード)】の魔法を放つ。


「.......よそ見してる隙はあるの?」


「っ!?」


 その隙にシーナがアイリスの眼前に飛翔していた。


「.......あなた、本当に昔から」


 シーナは刀を振り抜きながら告げる。


「欲張りすぎなのよ」


 ザンッ


「きゃぁぁぁぁあ!!!」


 アイリスは腹から鮮血を噴き出しながら炎の海に飲み込まれていった。

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