間章
そこまで語り終えたシナツは一息つく。
そんなシナツの物語を聞きながら、ソウルはただただポカンとしていた。
「し、シナツが……そんな風に女の人を口説けたなんて……ありえねぇ」
エリーさん。男を見る目なかったんじゃ?こんなろくでなしだぞ?
「言うじゃねぇかクソガキ。少なくともお前よりはマシだ」
「るっせぇ!?」
確かに、女っ気のない寂しい人生を送ってるけどな!!
「まぁ……俺がエリーと出会った経緯はこんなもんだな」
「じゃあ……まさかだけどシナツが俺に渡したあの黒剣って」
「あぁ。あれはエルフの里に封印されてた【覇王の剣】だ」
シナツはとんでもない事実を淡々と語る。
「ふっっざけんな!?そんなとんでもないもん、何も言わずに渡してんじゃねぇよ!?」
呑気に、すごい業物だなぁーとか思ってたけどそんな国宝レベルのとんでもない剣だったなんて、心臓に悪すぎる!
もし俺が何も知らずにあの剣失くしたりしてたらどうするつもりだったんだ!?
そんなソウルの魂の叫びをシナツは知らん顔で聞き流す。
「ていうか、そもそも何でエルフの里にあった【覇王の剣】をシナツが持ってたんだよ。それに何で死神……シェリーは今こうして騎士を殺し回るような事態になっちまったんだ?」
話を聞く限り、シナツはエリーさんと順風満帆に結ばれたように見える。
だと言うのに、どうして今こんなことになってしまっているのか。
「……そうだな」
シナツは何か感情を押し殺すようにぐっと黙り込む。そして、そのまま胸に溜まった苦いものを吐き出すように口を開いた。
「俺が……全部間違えちまったのさ。もしかすると、エリーと結ばれたことも、間違いだったのかも知れねぇ。それが、全てを地獄に変えちまった」
「間違えた……?」
「そうだな……あれはシェリーが4歳になったぐらいの頃だったか」
そしてシナツは続きの物語を語り始めた。
娘のシェリーと、その後のエルフの里の物語を。