惨劇の明けた朝
翌朝。
外は気が滅入るような雨が降り注いでいる。
そんな中、聖剣騎士団のみんなとシーナとアル、そしてオリビアは病院の一室へと集まっていた。
病床に横たわるソウルとレイ。
「……何があったか、説明してくれるか?」
倒れたままの2人を見つめながら険しい表情のジャンヌがシーナとオリビアに問いかけた。
シーナはオリビアの顔を伺うが、彼女は黙り込んだままただソウルの手を握っていた。
「えと……。オリビアに連れられて行った先に、ソウルとレイが倒れてて……それで、そこに多分死神と、もう1人男がいたの」
きっとオリビアは何も言わないだろうと感じたので、シーナが簡単に状況を説明する。
「……シーナの言う場所で、1人の男の死体が見つかりました。恐らくシーナが会った男かと」
「……そうか」
ジャンヌはシーナの言葉を聞きながらふぅとため息をつく。
「ってことはあれか?その男がソウルとレイを守る為に戦って、そんでやられたってことかよ」
「状況的に見て、恐らくそうでしょうね」
「誰なんだろうな、そいつ」
デュノワール、ケイラ、マリアンヌは口々に今ある情報から何かわかることはないかと頭を捻る。
「……でも、分かったことがあるの」
そんなみんなにシーナは口を開く。
「……死神、エルフの若い女だった。それで多分召喚魔法を使ってた」
「エルフ……?」
「召喚魔法だと……!?」
シーナの言葉にケイラとデュノワールが怪訝な顔を浮かべる。
「……なるほど」
そして、ハミエルは点と点が繋がったように頷いた。
「……やっぱりそうか。今回の死神の一件、君達が睨んだ通りジェイガンの過去に大きく関わりがあるみたいだ」
「どういう事ですの?」
ハミエルの言葉に注目があつまる。
「デュノワールとマリアンヌも知らないはずだ。話そう、【妖精の森殲滅作戦】。通称【妖精樹の大火】について」
そしてハミエルはかつての残虐非道な任務について語り始めた。