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帰路にて

 3人はトボトボと帰路についていた。


 有力な手がかりに違いないものは見つけることができたものの、現状それを確かめる術がない。


 夕焼けに染まる街がそんな3人の消沈した心をより一層げんなりとさせた。


「……どうしましょうか、ソウル様」


「そうだなぁ」


 パスワードを知っている人を探すか?


 そもそも、それを知ってる人はいるのだろうか?


 正直、あの情報を引き出す装置のことがよく分からないソウルにとって何をどうすればいいのかさっぱりなのだ。


 そんなソウルに現状を打開する術など思いつくはずはない。


 確か、魔導霊祭で使う【アルカナ】やさっきの魔石板といった複雑難解な装置……あれらは隣の国【聖国家シンセレス】から伝わったもので、正直イーリスト国の人々にとってはあまり馴染みのない物なのだ。


 だから操作方法もよく分からなければ、その仕組みですらもよく分からない。原動力がマナを含んだ鉱石、通称魔石であることは分かるがそれまでだ。


 どういった術式が埋め込まれて、どう作用しているのだろう?


 そんな事をグルグルと考えていると、アルがある提案をした。


「でしたら……聖剣騎士団の皆様に聞いてみるのはいかがでしょう?ジェイガン様のことをよく知る皆さんなら、何か知っているかもしれませんわ。このような時に聞くのは申し訳ないですけれど……」


 なるほど。確かに聖剣騎士団のみんななら何かを知っているかもしれない。


 しかし、ジェイガン様が殉職されてまだそんなに時間が経っていない。果たしてこのタイミングでそれを切り出してもいいのだろうか?


「それでも、今はそんな事を言っている場合ではありません。このままではまた新たな犠牲者が出るやもしれないのですから……ここは聞きに行くのが賢明かと思います」


 そう言ってマコはソウルの顔をじっと見つめる。


 その瞳はどこか悲しそうだった。きっと、マコ自身も聖剣騎士団のみんなに話を聞くことに引け目を感じているのだろう。


 だが、誰かが言わなければならない。使命を果たさなくてはならない。


 だからマコは心を鬼にしてソウルに伝えてくれているのだろうと。例え辛くとも今、やらなければならないのだと。


 2人はそれ以上何も言わないが、彼女達の想いを受け止めたソウルは決断した。


 でも、こんな役目まだ聖剣騎士団のみんなと関係の浅い2人に負わせるわけにはいかない。


「分かった。じゃあ俺が明日聞きに行くから2人は待っててくれ」


 しかし、そんなソウルの言葉にアルとマコは首を横に振った。


「何言ってるんですの?私も一緒に参りますわよ」


「はい。マコが言い出したことです。ここはマコもお手伝いさせてくださいまし」


「2人とも……」


 ソウルは少し迷いながらも頭をかく。


 そして……。


「……わかった。ありがとうな」


「いえ」


「お安い御用でございますよ、ソウル様」


 そう言って2人はソウルに微笑み返してくれるのだった。

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