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朝日は拝めない
じっと……闇夜と同化ながら少女はその時を待つ。
街がざわざわと騒然となっていた。
何事かと思い、そっと聞き耳を立ててみるとある大物騎士が街に現れたらしい。
そして市民に対し「死神は必ず仕留める!だから安心するのだ!」と豪語していたそうだ。
もっと相対するのは先だと思っていたが、向こうからこちらにやってくるというのであればそれは願ったり叶ったりである。
街の者の話を聞く限り、おそらく奴はこの辺りの路地裏を見回っているはずだ。
奴が聖剣騎士団から離れ単独行動するなんてことなど、そうそうあるわけもない。この千載一遇のチャンスを逃すわけにはいかない。
ここで必ず奴を仕留めて見せる。
必ず、この恨みを晴らして見せる!
「待っていろ……聖剣騎士団副団長。ウルツァイト・ジェイガン」
もう貴様に明日の朝日は拝めない。