エピローグ
「無事、伝えられたみたいだな」
目を真っ赤に腫らして帰ってきたマリアンヌを見てジャンヌはそっと微笑む。
「……はい。もう、色々大丈夫です。きっと今の私なら何でもできるような気がします」
目をぐしぐしとかきながらマリアンヌは答える。
「へっ。カッコ悪くえんえん泣いてたからなぁ。ほんとにやっていけんのかよ」
「あぁん!?やんのかコラァ!?」
「いって!?やめろって!?」
いつものようにデュノワールをボコボコにするマリアンヌとそれから逃げ回るデュノワール。
2人にとってのいつもの光景。いつもの関係。
ただこれまでと違うのは、かつてデュノワールの頭にあったカチューシャが本来あるべきマリアンヌの頭で光を放っていることか。
「本当に…よかったですね」
「あぁ」
ケイラとジャンヌはそっと微笑みながら言葉を交わす。
「全く…ほんとうに頼むぞお前達……これから先の任務は少々骨が折れそうな案件だからな。より一層の気合を入れてもらわねばならん」
そう言ってジェイガンは深くため息をついた。
「ってことは、やっぱりあれか?」
マリアンヌにボコボコにされながらも、デュノワールは少し目を鋭くさせる。
「あぁ」
ジェイガンの言葉を捕捉するように、ジャンヌは1枚の手配書を机に出した。
「やはり、このイーリスト城下町に『死神』が来ている」
「『死神』……」
ここ最近、イーリスト国で暴れ回る殺人鬼。
その被害者のほぼ全てが騎士。それも熟練の強者であることが多い。
目撃者の話によると、黒いフードに身を包み透き通るような黄金の刀を持っているということらしい。
「街の安寧の為、そしてこれまでこいつにやられた騎士達の為に必ずこいつを仕留める!みなくれぐれも用心して任務に当たれ!」
「「「「「了解!!」」」」」
こうして、聖剣騎士団は殺人鬼『死神』討伐のために動き始めた。




