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【マリアンヌのお見合い】夢

 夢を、見ていた。


 あたしが聖剣騎士団に入ることになったあの頃の記憶。


 シルフラン家から決別し、ジャンヌ様と……そしてデュノワールと生きることを決めた、あの時。


 意識がぼんやりとするのを感じながらマリアンヌはそんなことを考えていた。


 あぁ、またこうしてあたしは攫われてしまうのか。どうせ、またクレア母様の差金だろう。縁を切ったというのにどこまでもしつこい。


 今回ばかりは、助けに来てくれないだろうなぁ。


 まぁでも、仕方がない。だってあたしがいらないことをしてしまったのだから。


 売り言葉に買い言葉で、お見合いを受けるなんて言ってしまったから、結局あたしのせいだ。


 でも…せめて。最後にデュノワールに会いたかったなぁ。


 ガシッ


 すると、マリアンヌの身体が何かに抱き抱えられているような感覚に陥る。


 何だ?ラザナスの奴らに運ばれてるのか?


「〜〜〜〜!」


「〜〜〜〜!?」


 何やら怒声と爆音がが飛び交っている。戦闘が起きている?


 そうか、きっとソウル達が助けに来てくれたのか。


 いけねぇなぁ。後輩に心配かけるようじゃまだまだあたしは未熟者だ。


 ここで立たなきゃかっこ悪いぞマリアンヌ。


 重たい目蓋を無理矢理開く。視界に映るのはタキシードのような服。


 あぁ、タキシードを着てるってことはレイだな?流石、いつも気が利く良い奴だ。


 待ってくれよ、すぐに……すぐに立ち上がるから……。


 そう思い、身体に力を込めようとするマリアンヌの耳に1つの力強い声が響いた。



「おいマリアンヌ。勝手に他の男のもんになろうとしてんじゃねぇぞ?」



ーーーーーーー


 ソウル達は慌てて中庭を駆け回る。


「どこにもいねぇ!?まさか、さらわれたとか!?」


「……マリアンヌが心配。何とかしないと」


 慌てふためくソウルとシーナはとりあえずシルフラン家の中庭を駆け回る。その後ろでアルはピンピンと耳を揺らしながら辺りの音を拾っていた。


「あっちが何やら騒がしいですわ!きっとそこに違いありません!」


「よし!行くぞ!!」


 そうしてアルの耳を頼りに3人が走り出すと、そこには開け放たれた門。そして。


「れ、レイ!?」


「やぁ」


 門にもたれてこちらに手を振るレイの姿があった。


「おいレイ!緊急事態だ!」


「……マリアンヌがいなくなったの!探しにいかないと!!」


 ソウルとシーナがレイに状況を説明すると、レイはうんうんと頷きながら告げる。


「それなら、きっと大丈夫だよ」


「はぁ!?何言ってんだ!?そんな余裕どこに……」


「待ってくださいレイ。あなた服は?」


 すると、アルはレイが普段の装いに着替えていることに気がついた。


「いやぁ、マリアンヌさんの恋人役として僕も張り切ってたんだけどねぇ」


 レイはケラケラと笑いながら答える。


「僕よりも適任がいたから譲ってきたんだよ。だから後はもうきっと大丈夫さ」

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