【マリアンヌの過去】間章
男は倒れた赤髪の少女に目を落とす。
『あたしが……どれだけの想いで生きてるかなんて……お前なんかに分かるかよ……!!』
先程の言葉がデュノワールの脳裏に焼き付いていた。
「……こいつ、ほんとに犯罪者なのか?」
人の本気の想いぐらい見れば分かる。彼女の言葉にはこれまでの人生を賭けるほどの重みを感じた。
本当にこの女は……。
「あぁ、そいつは犯罪者さ。デュノワール」
すると、そんなデュノワールの背中から声がかけられる。
「こいつはシルフラン家が匿っている犯罪者。その強大な力を悪用しようとしてるのさ。だから俺達の粛清対象だよ」
「フォルス……」
振り返るとそこには青い髪の若い男。デュノワールの所属する義勇団のリーダー、フォルスの姿があった。
「連れていくぞ。この女には然るべき措置が必要だからな」
「……あぁ」
そう言ってデュノワールはマリアンヌ優しく抱き抱える。
「俺達は、穢れたこの世界を救う為に戦っているんだ。お前もその礎だ、分かってるな?」
「……あぁ。分かってるよ」
そうしてデュノワールを始めとした義勇団は屋敷を飛び出し、夜の街の中へと消えていった。