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【マリアンヌの過去】暗闇の屋敷

 夜がふけたころ。ふとマリアンヌは何か気配を感じて瞳を開けた。


「何だ?」


 そっとベッドから身を起こして自衛用の槍を手にする。


 使用人の誰か?いや、だったら敬遠されている私の部屋に近づいてくるはずはない。


 緊張で高まる動機を抑えながらマリアンヌはそっと扉に手をかける。


 ギィ…。


 屋敷の魔石灯はその光を失い、屋敷の中は暗闇に包まれていた。


 やはり、おかしい。


 例え夜遅くとも誰か見回りの執事や護衛の兵士がいるはずだというのに、窓から見える屋敷は全て灯りが消え、暗闇に包まれていた。


 暗い廊下をゆっくりと進みながら、暗い廊下に意識を集中させる。


 やはり、何かがいる。


「いるのでしょう?出てきなさい」


 相手は気配を殺しているようだがマリアンヌには通用しない。これまでずっと空気を読みながら生きてきたのだからカンの良さはずば抜けている。


 相手もそれを悟ったのか複数の気配がゾロゾロとマリアンヌの前に現れた。


「へぇ。この嬢ちゃんなかなか鋭いじゃないの」


 質素な服に身を包んだ彼らは貴族の類ではないように見える。盗人だろうか。


「かかっ。おめえさんがマリアンヌだな?」


「だったら何だというのです?」


 じりじりとマリアンヌを取り囲むように広がる盗賊達にマリアンヌは問い返す。6人……か。



「だったら、ちょっとお兄さんたちと一緒に来てもらおうか!!」



 そして、3人の男達が同時にマリアンヌへと飛びかかってきた。


「っ!」


 マリアンヌは迫る男達をその槍でいなす。


 ククンッ


「な!?」


「え!?」


「うおっ!?」


 男達の攻撃はまるで吸い込まれるように空を切り、ぐらりと体勢が崩れる。


 【流水】


 敵の攻撃を流れる水の如く受け流す技。


 男達はマリアンヌの操る槍術に抗えずにその勢いのまま倒れ込んでしまった。


 そして。


「ふんっ!」


 ドゴゴゴッ!


 隙だらけの男達の後頭部に槍の柄を叩き込んだ。


「ぐぁ……」


 ドサドサッ


「大したことないですわね」


 床に倒れる男達を足蹴にマリアンヌは次の男達を睨む。


「く…そ……!」


 マリアンヌの華麗な槍捌きに思わず男達は尻込みする。


「何だよ……聞いてねぇぞ?あんな奴だなんて……」


「ただ貴族の娘を1人攫うってだけじゃ……」


「そ、それは言うんじゃねぇっ。大将が言ってたろ!?」


 大将?この騒ぎの大元か?


「詳しく聞かせていただきましょうか」


 そう言ってマリアンヌは残りの男達に詰め寄ろうとしたその時だった。



「おいおいおい。なーんだよ、女1人になっさけねぇなぁ」



 暗闇の向こう側からそんなふざけた男の声が響く。


「あ…アニキ!」


 アニキ……この集団のリーダーか。そう思いながらマリアンヌは新しく現れた男に警戒を強める。


「なかなか凶暴な子猫ちゃんじゃんか。いいねぇ、俺そういう女大好きだぜ」


 そう言って現れたのは金髪の髪に身の丈ほどの戦鎚を担いだ若い男だった。

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