騎士ソウルのルーツ
語り終えたソウルはふぅと一息つく。
そう、あの時あの瞬間がソウルの始まりの時だった。
ウィルと出会っていなければ、あの物語を読まなければ、きっとソウルは今ここにいない。
騎士ソウルのルーツはシルヴァとウィルだった。
「.......懐かしいなぁ」
ソウルはぐっと涙をこらえながら空を仰いだ。
本当は、俺はウィルと2人で騎士になりたかった。2人で最高の騎士に。
でも、もうウィルはいない。もう、その夢は叶わない。
だから、せめて俺はウィルとの夢を追う。
あの頃2人で読み明かした『ダークネス』の様な騎士を目指すんだ。
「そうか.......」
そんなソウルの頭をジャンヌは優しく撫でる。
「きっと、君ならなれるさ。ウィルが夢見たような立派な騎士に......な」
「ソフィア.......」
そう零しながらソウルはジャンヌの顔を見つめる。
ほんと、ずるいのはどっちなんだって話だ。
ジーーーーーーッ
「ん?」
「む?」
ふと、視線を変えるとそこには先ほどまで公園で遊びまわっていた子ども達が集まって2人のやりとりを興味深そうに見つめていた。
ニヤニヤしながら面白おかしそうに見ている男の子や顔を真っ赤にしながら顔を隠す少女。
「.......うげ」
「み、見つかった!」
「キス!キスしろよー!」
そんな感じでガヤガヤと口早にヤジを飛ばしてくる。
その光景を見てソウルは状況を整理した。
ふむふむ。2人で見つめ合いながら、ジャンヌに頭を撫でられている。
その光景は、まるで熱々のカップルのようではないか。
「「〜〜〜〜〜〜〜っ!!」」
ソウルとジャンヌはゆでダコのように顔を真っ赤にしながら慌てて距離を取る。
「ヒューヒュー!!」
「もっとくっつきなよ!」
「キース!キース!」
だが、その反応が良くなかったのだろう。さらに子ども達の野次がエスカレートした。
「ににに逃げるぞ!ソフィア!!」
「あ、あぁ!!」
「あ!逃げたぞ!!」
「待てー!!」
こうして2人は慌てて公園から飛び出すのだった。