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頼み

「あらぁ?ソウルちゃん、なにか忘れ物?」


 店の片付けをしていたマルコはソウルの顔を見て声をかけてくる。


「あ~.......実はその.......折り入ってお願いが.......」


 ソウルは歯切れ悪くマルコに告げる。


「あら、なぁに?私に惚れた??」


 マルコは乙女のように目を光らせた。


「断じて違う」


 そしてソウルは即答で否定すると本題に入る。


「じ、実は.......」


 そう言ってソウルはシーナを店へ招き入れる。


「.......あらまぁ」


 マルコはそれで全てを察したようだった。


ーーーーーーー


「ほんとに助かったよ、マルコさん」


「もぉ、いいのよ。私とソウルちゃんの仲じゃない」


 まだ一度店で飲食しただけの仲のはずだが.......。それでもありがたいことなので何も触れないことにした。


 マルコは2つ返事で2人を受け入れてくれた。


 シーナは荷物を置いたあとマルコの勧めでシャワーを浴びているようだ。


 そしてソウルはリビングに案内されてこうしてマルコと話をしているというわけである。


「それで、あれが噂のシーナちゃんね?」


「あぁ。他の宿も回ろうかと思ったんだけど.......」


 シーナにあんな思いはさせたくなかった。


「まぁ、悪い判断じゃないわ。今この街で訳アリの人間を泊める宿屋は少ないもの」


 マルコは納得したように告げる。


「なんでだ?おれが旅してた時はそんなこと無かったんだけど」


「最近物騒なのよ。騎士ばかり狙う連続殺人鬼【死神】、謎の魔法使い【黒騎士】に獣人族の首領【半獣の王】.......挙げたらキリがないわ」


「そんなご時世だから.......か」


「そうね。みんな敏感になってると思うわ。だから見るからに怪しいヤツは入れたがらないんだと思う」


 ジョッキをコトっと置きながらマルコはため息を着く。


「何か.......大きなことが起こる前触れかもしれないわ。気をつけなさい」


「よく分からんけどなぁ」


 大きなことって一体何だろうか?想像もつかない。


「それでも、警戒するに越したことはないわ。あなたが戻ってこないと悲しむ子もいるんだから」


「いやぁ、そんなやつはいないと思うけどなぁ」


 絶賛天涯孤独の身だし。


「.......ソウルちゃんって罪な男ね」


「何の話?」


「別に?」


 マルコは肩をすくめる。


「まぁ、3日後の出発の日までうちにいてくれて構わないわ」


 マルコの提案にソウルは深く頭を下げる。


「すまん、恩に着るよ。せめて金はあるだけ渡すから.......」


「お金なんていいわよ、その代わりと言っちゃあれなんだけど.......」


 マルコはやけにニヤニヤしながら告げた。


「1つ、頼まれてくれないかしら?」

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