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モニカの過去5【出会い】

「兵隊さん兵隊さん。私はどこでしょう?」


 カタカタカタカタッ!


「あはは、見つかっちゃいましたね」


 そして明くる日、6体の兵隊の姿をした人形達はモニカと共に隠れんぼをしていた。


 いつもの人形とモニカだけの世界。


 いつもと変わらない1日だった。あの時までは。



「おら、弱虫ロッソ!このお化け小屋に入ってこいよ!」


「い、いやだいやだいやだ!!やめてくれよ、離してくれよ!!」



 突然小屋の外から何やら騒がしい声が聞こえる。


 ドキリとしたモニカは見つからないように兵隊達と共にそっと物陰に隠れた。



「ここではお化けが出るんだぞ?弱虫ロッソが入ったら死んじゃうんじゃないか?」


「嫌だって!なんでそんな事するんだよ!?」


「何でって、面白いからだよ!」


「そうそう。怖がるお前はいい反応するからな!」


 ドンッ!!


 そして小屋の扉が乱暴に開かれたかと思った瞬間。誰かが小屋の中へと押し込まれてきた。



「う、うわぁっ!?」



 飛び込んできた緑髪の気弱そうなその少年は閉ざされた扉をドンドンと叩きまくっている。



「いやだ!!出してくれよ!!怖いよ!!」


「はっはっは!!やっぱりおもしれぇ!!」


「おーら!1時間ぐらいしたら来てやるから!お化けと仲良くしてるんだな!!」


「うわぁぁぁあ!!やめてくれええええええ!!!」



 少年はこれでもかというぐらい泣きべそをかきながら扉を叩く。


「.......うるさいなぁ」


 モニカは物陰に隠れながらボソリと呟く。


 早く出て行ってくれないだろうか。そう思って身を動かしたその時。


 ドンっ


「.......あ」


 モニカの背中が荷物に当たり、どさりと床に落ちてしまう。


「ひっ、ひぃぃ!?」


 突然の物音に少年が振り向く。そして、モニカと目が合ってしまった。


 しまった。


 ギクリとしながらモニカはただ固まることしかできない。


「.......」


「.......」


 お互いに顔を見つめ合う。


 先に沈黙を破ったのは少年だった。


「.......かわいい」


「.......え?」


 突然の一言にモニカは言葉を失った。


 かわいい?そんな言葉、もう何年も聞いていなかった。


「え、え?誰?すごいかわいいじゃないか。その.......名前.......は?」


 少年は恐怖心も忘れて食い気味にモニカに詰め寄ってくる。


「ひ、ひっ!?」


 長らく人と関わることをやめた彼女にとって、そのような状況をどう対処すればいいのかわからない。


 だから、咄嗟に口にしてしまった。


「き、キモイです」


「ガーン.......」


 目の前の少年は絵に描いたようにショックを受けた顔をしている。その姿があまりに面白くて、思わずモニカは笑いがこみ上げてきた。


「.......ふっ、ふふふふ」


「.......え?」



「あははははっ」



 モニカは屈託のない笑顔を見せた。その様子に幼い日のロッソも思わず口が緩む。


 こうしてモニカは初めて人間の友達と出会った。

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